最近の話題 2016年9月3日

1.Fujitsu SemiがNanteroのCNTメモリをライセンス

  2016年9月1日のEE Timesが,富士通セミコンダクタと三重富士通セミコンダクタが,NanteroのCNTメモリのライセンスを発表したと報じています。

  Nanteroは2001年に設立され,15年にわたってCNTの不揮発性メモリを開発してきています。NanteroのCNTメモリは,単一CNTを使うのではなく,方向が揃わず交差した数100本のCNTを使い,その交点がReRAMのフィラメントのように,掛ける電圧により抵抗が変ることを使っているとのことです。

  それで,読み出し速度は20ps,書き込みは5us程度で,1011サイクルの書き込み寿命とのことです。

  すでに12社以上がライセンスを受けているとのことですが,これまで,どの会社もライセンスを発表しておらず,富士通セミコンダクタが初めて発表しました。

  富士通は組込みNRAMとして,カスタム製品にCNTメモリを利用する計画で,2018年末までに製品化を行う計画とのことです。また,Nanteroは4層あるいは8層のCNTを使い,容量が8~32GbitのDDR4互換のメモリの開発にも協力しているとのことです。

  しかし,公表されたデータが無く,本当の実力は良く分かりません。

2.Intelが14nm+プロセスを使うKaby Lakeを発表

   あちこちで取り上げられていますが,PC Watchの2016年9月2日の後藤さんの記事が一番詳しいと思います。

  14nmプロセスを使うプロセサは3代目で,かつてのtick-tockは崩れてしまっているのですが,Intelのプロセス屋さんは改良は続けていて,Finが高くなりトランジスタ電流が増えたり,配線のアスペクト比やピッチも最適化するなどの改良が入っているので,14+と称しているのだそうです。そして,これらのプロセス改良で,12%性能が向上しています。

  1ノードの進歩ではなくても,プロセスの改良は他社でも続けられており,ファウンドリの顧客に提供されており,珍しいことではありません。

  Kaby Lakeも,プロセサコアの部分は,Skylakeから殆ど変っていないとのことです。一方,GPUの部分は,ビデオのエンコードやデコードの部分がカスタムロジックされたのが大きな変更です。

  カスタムロジック化すると,密度が上がり,消費電力の改善が得られます。その分,チップ面積は増えますが,ビデオ再生などの消費電力を減らす方が重要だったのでしょう。

3.Intelが14nm+プロセスを使うAppolo Lakeを発表

   2016年9月2日のThe RegisterがIntelのApollo Lakeの発表を報じています。14+プロセスを使い,HD Graphics 9を搭載し,HEVCやVP9のハードウェアデコーダを搭載するのはKabu Lakeと同じですが,Kaby Lakeより廉価版のスマホやタブレット向けのチップです。

  Celeron N3450,N3350,Pentium N4200の4品種は6W,Celeron J3355,J3455,Pentium J4205の3品種は10Wの最大消費電力です。この中で,最高の性能の品種はJ4205 で,4コア,4スレッド,クロックは1.5~2.6GHzで,HD 505 GPUを搭載し,最大クロックは800MHzとなっています。
 

4.AMDの状況

   2016年9月1日のHPC WireがAMDとGlobalFoundriesの契約などについて報じています。お金の話が多いのですが,それは除くと,技術的な話は,ZenプロセサはIntelのCoreプロセサと互角という話と,Global Fundriesは10nm世代をスキップして,14nmから7nmに移るという話です。

  AMDはIDFにぶつけてZenプロセサのデモを行いましたが,8コア16スレッドのSummit RidgeとIntelの,同じ8コア16スレッドのBroadwell-Eで,同じクロックで,Blender Lendering処理を実行させた結果,ZenコアのSummit Ridgeの方が速かったとのことです。

 一つの処理だけでは比較として十分ではありませんが,それでもZenはIPCが40%アップして,Intelに対抗できるレベルになったという感じはします。

  また,AMDは32コアのNaplesを開発しており,2017年2Qに出てくるとのことです。これができるとサーバ分野でもIntelに対抗できる製品となると予想されます。

  一方,GlobalFoundriesですが,10nmプロセスの開発を止め,一気に7nmプロセスにジャンプするとHPC Wireは報じています。7nmプロセスに自信があるなら良いのですが,追い詰められた結果の冒険だと心配です。いずれにしても,AMDは10nm世代は他のファブを使わざるを得ないのではないかと思われます。
  
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