最近の話題 2016年10月22日

1.東大-筑波大のOakforest PACSスパコンはピーク25PFlops

  2016年10月21日のマイナビニュースが,東大-筑波大のOakforest PACSスパコンについて報じています。それによると,二つの大学のコンピュータセンターが予算を出し合って1つのスパコンを調達するという初めての例とのことです。

  単にお金を出し合って,規模の大きいスパコンを入れる方が良いなら,もっと,多くの大学が参加しても良いのですが,サポートや人的交流などを考えると,やはり,物理的な距離が近い方が良く,筑波大と東大の本郷キャンパスの中間にある東大の柏キャンパスに設置というのが,これが可能になった一つの理由かと思われます。

  Oakforest PACSスパコンは,IntelのKNLを使うスパコンで,KNLのコアはOSが動き,スパコンのベクトル計算もできるということで,各コアが1台のPCと同じように動けます。つまり,CPU+GPUのヘテロなコンピュータではなく,PCクラスタの延長であり,GPUを使ったことのない人,あるいはGPU向けに移植されていないソフトでも容易に使えるというのがコンセプトです。

  Xeon Phi 7250を8,208個使い,ピークの倍精度浮動小数点演算性能は25PFLopsと,京コンピュータの10.5PFlopsの2.5倍に近い演算性能をもっています。各ノードにメモリは,実効490GB/sと広帯域なMCDRAM 16GBと96GBのDDR4-2400が付きます。このノードをIntelのOmni-PathのFat treeで接続しています。

  ストレージはDDN製で,SFA14KEが26.2PBでファイルキャッシュのIME14Kが940TBついています。

  これでラックの総数は102本,消費電力は4.2MWです。この電力には,冷却用の電力も含まれています。なお,KNLはASETEKの水冷のコールドヘッドが付いています。

  現在は,小規模構成で部分的に動かしており,12月1日から全系の稼働,来年4月から一般ユーザの受け入れの予定です。

2.Samsungは,今年中に10nm SoCを出荷

 2016年10月16日のEE Timesが,Samsungが今年中に10nmの10LPEプロセスを使うSoCの出荷を開始すると報じています。10LPEは,3重露光を使って実現され,14nmプロセスと比較すると,30%面積が小さく,27%性能が高い,あるいは同一性能なら40%電力を減らせるとのことです。

 それに続いて10LPPプロセスの立ち上げが行われ,2016年の遅い時期には量産が立ち上がる予定です。

 そして,その次の7nmノードは,液浸ArFではなく,EUVを使う使う予定とのことです。IntelはEUVはもう1世代先と言っているのですが,SamsungはEUVの改善に楽観的です。EUVを使う7nmプロセスの量産開始時期は,2018年の遅い時期となっています。

 Samsungのファウンドリとしてのシェアは低下しており,IC Insightsの予想する今年の売り上げは$2.79Bで,中国のSMICにも抜かれて5位です。最大顧客のAppleを取り戻すには,技術でアピールする必要があると思われます。

3.任天堂が新ゲーム機Switchを発表

 2016年10月20日の4gamerが,任天堂の新ゲーム機Switchの発表を報じています。ドックに入れた状態でHDMIでTVにつなげると大画面でゲームが楽しめる据え置き型のマシンですが,本体にもディスプレイが付いているので,本体を持ち運んで携帯型のゲーム機としても使えるようになっています。

 NVIDIAは,このマシンのエンジンは,カスタムのTegraであると発表していますが,その詳細は明らかにされていません。しかし,NVNと呼ぶ新しいAPIを,NVIDIAと任天堂が協力して開発していくとのことです。

 Nintendo Switchの発売は2017年3月となっています。


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