最近の話題 2016年11月5日

1.Microsoftがオープンハードを促進するProject Olympusを発表

  2016年11月2日のEE Timesが,MicrosoftのProject Olympusについて報じています。オープンなデータセンタハードウェアというとOpen Compute Projectがありますが,完成した設計を貢献するというやり方なので,遅いというのが問題というのがMicrosoftの主張です。

  Project Olympusは,オープンソフトが開発中のソースコードをオープンにして,大勢のエンジニアが貢献できる部分を改良していくというのと同じような開発を行うことで,開発を早めることを狙っています。

  Project Olympusのサーバは,945×441mmのサイズで,CPU 2個,DIMM 32枚,8枚のM.2SSDスロット,50Gネットワーク,3枚のx16 PCIeカードと12V電源というマザーボードとなるとのことです。

  これから参加者がどのような貢献が期待されているのか,どのようにかじ取りをして規格をまとめていくのかなどは記事を読んでもよく分かりませんでした。

2.SamsungとBoschがAIスタートアップGraphcoreに出資

  2016年11月1日のEE Timesが,英国のブリストルにあるGraphcoreというAIのスタートアップに出資したと報じています。Graphcoreは従業員40人で,$30Mと比較的豊富な資金をSeries Aで集めました。大部分はベンチャーキャピタルの出資のようですが,SamsungとBoschも出資者に入っているとのことです。

  Graphcoreは,詳細を明らかにしていませんが,同社の開発しているIntelligent Processor Unit(IPU)は大量の低精度の浮動小数点演算ユニットを集積した巨大チップで他社のものより高い演算密度を実現するとのことです。このチップはinferenceだけでなく,learningにも使えるとのことです。製造プロセスはTSMCの16nmで,どのバリエーションを使うかは未定だそうです。

  IPUにモデル全体を収容し,他のシステムの100倍のメモリバンド幅を持ち,inferenceやlearningの性能は10倍~100倍と同社は述べています。オンチップのメモリなら100倍のバンド幅はあり得ますが,モデル全体を入れるだけの容量のメモリをオンチップに搭載するのは難しいので,HBM2とシリコンインタポーザというようなアプローチでしょうか?技術発表は,2017年後半の予定です。

  Graphcoreh独自のAPIを作る意図はなく,既存のフレームワークを使う方針で,最初はTensorFlowとMXnetでIPUをサポートする予定です。

3.ASMLが次世代EUVの開発に$1.9Bを投資

  2016年11月3日のEE Timesが,ASMLが次世代EUVの開発に$1.9Bを掛けると報じています。

  EUV光学系の開発にはカールツァイスの子会社の株の24.9%を$1.1Bで買収し,NAが0.5以上の光学系を開発するとのことです。しかし,このマシンは,2024年に量産とのことで,かなり先の話ですが,NA0.5となると8nmを解像できるそうです。

  ASMLによると,第1世代のNXE:3400Bは,2018年には量産に使用されるとのことです。スループットは125ウェファ/Hrと推定されています。

4.カーネギーメロン大が人工知能の倫理の研究所を設立

  2016年11月1日のNew York Timesが,カーネギーメロン大学の人工知能の倫理に関する研究所の設立を報じています。全米8位の大手法律事務所のK&L Gatesがお金を出し,K&&L Gates Endowmwnt for Ethics and Computing Technologiesという研究所を設立します。

  軍事研究では,機関銃を装備した自走式のロボットが作られており,これに人工知能を組み合わせて,敵と判断したら銃撃するという事態も予想されます。そうなると人工知能が人間を殺すという判断をして良いのかという問題が出てきます。

  これほど先鋭的でなくとも,株価の操作,節税指南,医療の判断など,人工知能が持つべき倫理が問題になる局面は,増えて行くと考えられますから,このような研究は重要だと思います。

  なお,K&L GatesはBill Gatesのお父さん(故人)が関係していた会社とのことです。



  

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