最近の話題 2016年12月24日

1.オープンな環境でAIの研究開発の推進を目指す産総研のABCI

  日経エレクトロニクスの来年1月号がAIチップ創世記という特集を掲載しており,その中で,AI Bridging Cloud Infrastructureの計画を主導した産総研の特定フェローで東工大の教授でもある松岡先生のインタビュー記事を載せています。本来,有料会員向けのコンテンツなのですが,2017年1月19日までは,無料での公開となっています。

  ABCIですが,2016年10月31日のHPC Wire Japanが,資料招請に書かれている主な仕様を報じています。それによると,浮動小数点演算はIEEE準拠とするが,精度は問わない。その条件でピーク性能は130PFlops以上と書かれています。そして,倍精度のピーク演算性能は33PFlops以上であることが望ましいとなっています。

  メモリは,ピークバンド幅が4.4PB/s以上,容量は480TB以上となっています。ストレージは20PB以上の容量の並列ファイルシステム,計算ノードとの実効転送バンド幅は200Gbps以上となっています。インタコネクトは100Gbps以上でなるべく高いバイセクションバンド幅を要求しています。

  そして,消費電力は3MW以下で,年間のPUEは1.1以下であることが望ましいと書かれています。なお,資料招請の締め切りは12月8日で,すでに過ぎています。

  このAI Bridging Cloud Infrastructureですが,Googleなどが使っているような大規模なAI研究環境がないことも,日本のAIが遅れている原因ということで,これを提供しようというものです。そして,そこでの開発に使ったビッグデータ,トレーニング済のモデルもオープンにして,研究開発の速度を上げるとのことです。

  ABCIをオープン性の高い研究開発環境とすることで,その波及効果が大きくなり,正のサイクルとなることを期待しているとのことです。

  

  

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