最近の話題 2017年4月22日

1. MicrosoftのARMベースPCは年内発売

  2017年4月21日のThe Inquirerが,MicrosoftのARMベースのWindows 10 PCは年内に発売と報じています。

  投資家に対する発表の場で,QualcommのCEOのSteve Mollenkopf氏が,SnapdragonベースのWindows PCが,今年の10月から12月の間に登場すると述べたとのことです。

  MicrosoftはWindowsRTをx86以外のプロセサに移植したことはありますが,Windows10をx86以外に載せたことはありません。しかし,QualcommのSnapdragon 835/845でWindows 10を動かせば,より低電力でスリムなSurfaceが作れて,マーケットが増えて,売り上げが増やせる可能性があります。

  どの程度のプラスかは分かりませんが,ハイエンドのSnapdragonの売り上げが増えるのはQualcommにとっても良い話でしょう。

2. Hyperion ResearchがHPC市場は年率6.2%で拡大と予想

  2017年4月20日のHPC Wireが,IDCのHPCグループが独立してできたHyperion ResearchのHPC市場の調査結果を報じています。それによると,2016年のHPCの市場規模は$22.4Bで,それが2021年には30.3Bに拡大し,これは年率6.2%の成長です。

  2016年のサーバ市場は$11.2Bでセグメントとしては最大ですが,伸び率では年率5.8%と見られています。一方,ストレージは,2016年には$4.2Bですが,伸び率は年率7.8%と,最大の伸びが予想されています。

3. Appleが将来的には100%リサイクルのiPhoneを目指すと発表

  2017年4月21日のThe Inquirerが,Appleは100%リサイクル原料でiPhoneを作ることを目指すと発表したと報じています。

  古い携帯電話から。金などの高価な材料を回収する都市鉱山は,広く行われていますが,プラスチックなどを含めて100%リサイクル原料と言うのがどの程度,現実的であるのか分かりませんが,Appleはそれを目指すと発表したとのことです。ただし,100%リサイクルになる時期は明示していません。

  原料の採掘に少年が強制労働をさせられているという批判に応えるとのことですが,そこそこ健康に配慮した環境で大人が採掘している場合は,仕事を奪ってしまうという側面もあり,良い面ばかりではないという懸念もありますが,100%リサイクルで持続可能な世界という基本的な考え方は賛成です。

4. FacebookやElon Musk氏が脳インタフェースを開発

  2017年4月20日のThe Inquirerが,FacebookがF8コンファレンスにおいて,頭で考えただけでタイプができるテクノロジを開発していると発表したと報じています。ただし,具体的にどのようにやるのか,現在,どこまできているのかなどは明らかにされていませんが,電極を脳に埋め込むという方法ではスケールしないので,Optical Imgingが有望と考えているとのことです。

  そして,2年以内に,医療用の試作品を作りたいと述べています。

  FacebookのBuilding 8 projectは,GoogleのGoogle Xと同様に,まだ,海のものとも山のものとも分からない先進的なテクノロジ開発に取り込むもので,DARPAのディレクタであったRegina Dugan氏が率いています。

  そして,2017年4月21日のThe Inquirerは,Elon Musk氏が,新たに立ち上げたNeuralink社で,脳インタフェースの開発に取り組むことを発表したと報じています。こちらは脳に障害のある人を対象に,脳に電極を埋め込むタイプのテクノロジを開発すると発表したと報じています。このテクノロジを4年以内に使えるようにするという目標です。

5. 富士通がSPARC64 XIIプロセサを発表

  2017年4月4日に富士通は,最新のSPARCプロセサであるSPARC64 XIIを発表しました。また,4月20日には,横浜情報文化センターで開催中のCool Chips 20において,その詳細を学会発表しました。

  富士通は,ポスト京スパコンのプロセサはARM v8 SVEアーキテクチャを採用すると発表しており,SPARCが今後どうなるのか不明であったのですが,今回のSPARC64 XIIの発表で,ビジネス系のサーバではSPARCアーキテクチャを継続することが明らかになりました。

  興味深いのは,前世代のSPARC64 X+が16コアであったのに対して,SPARC64 XIIは12コアに減ったことです。しかし,X+のコアは2スレッドのSMTであったのに対して,XIIのコアは8スレッドSMTとなっており,並列実行できるスレッド数では32から96に増加しています。また,XIIのコアは2つの実行パイプラインを備えており,実質的には24コアと考えることができます。

  加えて,クロックを4.25(高速モードでは4.35)GHzまで引き上げ,シングルスレッドの実行を高速化しています。

  これまで,富士通は2レベルのキャッシュだったのですが,XIIでは,やっと,3レベルのキャッシュになりました。また,キャッシュの制御にMEZASIと呼ぶ独自のプロトコルを使っているとのことです。

  ただ,Cool Chipsでの発表では,従来のビジネス系のアプリケーションの性能評価だけしか発表されず,流行のビッグデータやAIへの取り組みが全く触れられていませんでした。ということで,トレンドのキャッチアップという点で遅れた印象でした。



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