最近の話題 2017年8月5日

1.IBMとSonyのチームが201Gbit/inch2のテープを発表

  2017年8月3日のEE Timesが,IBMとSonyのチームが1平方インチに201Gbitを記憶できる磁気テープを開発し,8月2日のTMRC 2017で発表したと報じています。

   Sonyは7nmのナノ磁性粒子を垂直に配列させるスパッタ法で製造する技術を開発し,IBMは48nm幅のTMR磁気ヘッドを開発し,818,000bit/inの線密度,246,200トラック/inの記録を実現したとのことです。これは201Gbit/in2の密度で,標準の手のひらサイズのカートリッジに330TBのデータを記録できます。そして,これは現在,使われているものと比べると20倍の記録密度だそうです。

  磁気テープは時代遅れと言われたこともありますが,大型の望遠鏡や加速器など大量のデータが溜まるところでは,テープカートリッジの自動倉庫であるアーカイブ用のストレージが欠かせません。

2.東芝が四日市工場のFab6に1950億円の単独投資を発表

  2017年8月3日のThe Registerが,東芝の四日市工場への1950億円の単独投資の発表について報じています。

  東芝とSandiskは,半々の出資で,東芝の四日市工場でNAND Flashを作ってきました。そのSandiskはハードディスク大手のWestern Digitalに買収されて,Western Digitalの一部になってしまいました。

  一方,東芝はPCに関わる粉飾決算,原子力事業での多額の損失から,半導体事業を売却して2兆円を手に入れる以外に手が無いという状態に追い詰められています。

  この半導体事業の売却ですが,Sandiskとの契約では同意なしに勝手には売れないとなっていたようなのですが,Western Digitalの同意が必要かは法律的な争いになっています。ということで,半導体事業の売却は揉めているのですが,四日市のFeb 6に96層の3D NANDを作る設備を入れないと,大型投資を発表しているSamsungに大きく差をつけられてしまいます。

  この投資についてはSandiskと話し合いをしてきたのですが,合意が得られず,待ってはいられないので,東芝単独での投資を決定したとのことです。

  東芝としては,半導体事業を有利に売りたいのでしょうが,Sandiskの事業を引き継いだWestern Digitalと折り合いを付けないと動きが取れず,立ち往生ということになってしまわないか心配です。

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