最近の話題 2017年8月26日

1.Microsoftが次期XboxのSoCを発表

   2017年8月22日のEE timesが,Hot ChipsでのMicrosoftのXbox OneのSoCの発表を報じています。このチップはScorpioという名前で開発されていたものです。

  Scorpioは16FFプロセスで作られ,359mm2のチップに7Bトランジスタを詰め込んでいます。AMDでのチップ開発ですが,Zenコアは時期的に間に合わず,Xbox One Sと同じJaguar系のコアを8コア集積し,2.3GHzクロックで動作させています。L2キャッシュは4コアごとに2MB搭載しています。

  グラフィックスコアの方は40個のComputeコア(と4個のスペア)を搭載し,1.172GHzのクロックで動作し,6TFlopsの性能と書かれています。そして,グラフィックスコアはXbox One SやXbox 360と互換とのことです。

  Scorpioは12個のGDDR5 DRAMを使っており,現世代のような32MBのSRAMは積んでいませんし,HBMも使っていません。HBMを使わなかったのは,高過ぎるためとのことです。GDDR5の総容量は12GBで,クロックは6.8GHzで,ピークメモリバンド幅は326GB/sとなっています。

2.MicrosoftとIntelがFPGAベースのProject Brainwaveを発表

    2017年8月23日のHPC Wireが,Hot ChipsでのMicrosoftとIntelのFPGAベースのProject Brainwaveの発表を報じています。Microsoftのms-fp8(8ビットの浮動小数点数)やms-fp9というフォーマットを使った計算では,Stratix 10 FPGAで39.5TFlops出るとのことです。それもバッチの処理ではなく,応答時間の短い単一の推論の場合の性能ということで,応答時間が問題となるデータセンター向けの推論エンジンとしては,望ましい性能です。

  Project BrainwaveはMicrosoftの巨大なFPGAインフラを使い,DNNの処理をFPGAにマップして,ソフトウェアの介在なしに高性能の処理ができるようにします。これにより処理のレーテンシを短縮することができます。

  そして,FPGAによるソフトDNNエンジンは,処理に応じて計算精度や演算器の数などの構成を変えることができます。また,まったく別のアーキテクチャに変えることも数週間程度で行うことができます。これはASICのアクセラレータに比べて大きなメリットです。

  Project Brainwaveは,現在,MicrosoftのCNTKとGoogleのTensorflowをサポートしており,他のフレームワークのサポートも計画しているとのことです。

3.ThinCIがマシンラーニング用のグラフプロセサを発表

    2017年8月21日のEE timesが,Hot ChipsでのThinCI社(Think-eyeと発音)のグラフプロセサの発表を報じています。NVIDIAのVoltaやGoogleのTPUはTensor演算を高効率で実行するチップですが,ThinCIのGraph Streaming Processorは,グラフで記述された演算をデータフロー的に実行していくプロセサです。

  入力データが入ってくれば演算して出力をグラフでつながっているコアに送り出すという動作をするので,自動的に並列の演算ができ,コア間のデータのバッファも小さくて済むというのがウリですが,本当にうまくいくのかどうかのデータは示されていません。

  28nmのHPC+プロセスで製造され,消費電力は2.5Wとなっています。チップは4つのプロセサからなるQuadが多数集積されているという構造で,発表時にチラッと16Quadというような発言がありました。その程度の規模なら,2.5Wはあり得る数字と思います。

  ThinCIには,デンソーがお金を出し,開発にも協力しているとのことです。

4.Pepperが葬儀を執り行う

    2017年8月25日のThe Inquirerが,Pepperが仏式の葬儀を執り行うと報じています。写真が掲載されていますが,袈裟,衣をつけ,木魚とりんを叩いてお経を唱えるようです。そして,首からはIpadを下げ,写真では読み取れませんが,お経の文言が表示されるようです。

  葬儀のお値段は5万円程度で,人間のお坊さんを頼むよりかなり格安です。そして,葬儀に参列しなくてもストリーム映像を配信してもらってバーチャル参列することもできるそうです。

  これまでのところ,まだ,注文はないとのことですが,ロボット僧侶が当たり前になって,ニュースにならないという時代が来ないとは限りません。
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