最近の話題 2017年9月2日

1.Oracleがハード部門のレイオフを開始

   2017年8月31日のThe Registerが,Oracleがハード部門の従業員のレイオフを開始したと報じています。Oracleのハード部門の2017年度の売り上げは$4.15Bで,2016年は$4.67B,2015年は$5.2B,2014年は$5.37Bと凋落傾向で,最近ではOracleはSPARCサーバ部門を切り捨てるのではないかという観測が流れていました。

  報道によると,9月1日に配達される解雇手続きのFedexメールがハード部門の従業員に届いているとのことです。現状では,The RegisterからOracleへの問い合わせの回答はないとのことで,レイオフの規模などは分かりませんが,中途半端なレイオフは考えにくいので,大規模レイオフになるという恐れが大です。

  日本の9月1日の夜にthelayoff.comをチェックしたところでは,fake newsだという書き込みもあったのですが,9月2日の朝には通知を受け取ったという書き込みが増え,規模ははっきりしませんが,大規模なレイオフになることは確かなようです。

  筆者の昔の仲間で,Oracleのハードウェア部門にいる人も少なくないので,心配です。

2.DARPAのICECool 3Dチップ冷却

   2017年8月31日のEE timesが,DARPAのIntrachip/Interchip Enhanced Cooling(ICECool)プロジェクトでIBMとGeorgia Techが3Dチップの冷却問題を解決したと報じています。3D積層したチップは発熱密度が高くなってしまうので,冷却が問題となります。これまで,チップの背面に溝を掘って水を流して冷却するというような方法が試されてきましたが,実用にはなっていません。

  IBMとGeorgia Techが開発した方法は,水ではなく,
Honeywell International Inc.が開発したSolostice ze R-1234zeという絶縁性の液体で,通常のチップ温度である85℃では気化する物質で冷却してします。50umの厚みのPower7 CPUチップを100um空けて積層するという構造のテストチップを作っています。100umの隙間にこの冷媒を入れ,チップの発熱で蒸発させて冷却します。100umの隙間を作るスペーサは中が中空で,液状の冷媒の供給と蒸発でできた蒸気を運び出すとのことです。

  この冷却でチップ温度を25℃下げられるとのことです。

  蒸発冷却は気化熱を利用できるので,冷却の効率が良いのが利点ですが,発熱が大きいと蒸発する気体の圧力が高過ぎて冷媒が供給されないとか,気泡がついてしまって冷媒が届かず冷却できないという問題が発生します。このあたりをどのように解決しているのか興味があるところです。

3.Intelの子会社のMovidiusがMyriad Xを発表

   2017年8月28日のEE timesが,Intelの子会社でVisionチップを開発しているMovidius社が,現在のMyriad 2の後継となるMyriad Xを発表したと報じています。Myriad 2ではSHAVE(Streaming Hybrid Architecture Vector Engine)コアが12個であったのをMyriad Xでは16個に増加させています。その結果,トータルの演算性能は4TFlopsを超えるとのことです。

  そして,チップ外のメモリからの読み出しを減らすため,オンチップのメモリを2MBから2.5MBに増やしています。
外部メモリは,Myriad 2ではLPDDR3だったのですが,Myriad XではLPDDR4で容量は4Gbitとなっています。

  一方,消費電力は,Myriad 2の2Wから増やさないように頑張ったとのことです。といっても28nmプロセスから16nmプロセスに変わっているので,かなりハードウェアを増やせる余地はあるはずです。

4.MediaTekがミッドレンジのHelio P23とP30を発売

   2017年8月28日のEE timesが,MediaTekのミッドレンジのスマホSoCのHelio P23とP30の発売を報じています。Helio P23とP30はデュアルカメラのスマホチップで,上級に迫るスペックのSoCです。

  TSMCの16nmプロセスで作られ,ARMのCortex-A53を8コア搭載し,最大2.3GHzクロックで動作します。グラフィックスはMali G71 MP2を搭載し,P23は770MHz,P30は950MHzクロックで動作します。カメラはP23が13+13Mpixel,P30が16+16<pixelとなっています。

  P30は500MHzクロックのTensilicaのDSPとImage Signal Processorを持ち,CPUの負荷を減らしています。P23も専用のメディアプロセサを持ち,H.265 4K×2Kビデオの再生ができます。

  P23とP30は$150~$500レンジのスマホに搭載されると考えられます。
  
  
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