最近の話題 2017年11月25日

1.Marvellが$6Bで Caviumを買収

  2017年11月20日の EE Timesが,Marvellが約$6BでCaviumを買収すると報じています。MarvellはHDDやSSDのストレージコントローラの 大手でネットワー クやワイヤレス接続半導体もやっています。一方,Caviumはマルチコアの通信プロセサ,データセンターのネットワークやストレージネットワークの半導体をやっ ています。また,CaviumはARMアーキテクチャのデータセンター向けプロセサであるThunderXに力を入れています。

  Marvellの売上は約2.4Bで,Caviumの売上は約$1Bで,両社の重複はほとんど無く,合併後の
売上は$3.4B程度になると見られます。

  ただし,安いチップが得意なMarvellは,ハイエンドなThunderXには,あまり興味がないと見られており,ThunderXの先行きははっきりしな いと見られています。

  買収は,Caviumの1株につき$40とMarvell株2.1757株を支払うという条件です。Marvellによると,2018年中頃には買収を完了で きるとしています。

2.HPEのMeg Whitman CEOが退任しAntonio Neri氏が後任に

  2017年11月22日の EE TimesがHPEのMeg Whitman CEOが退任し,後任にはHPE生え抜きのエンジニア出身であるAntonio Neri氏が選ばれたと報じています。
 
  Meg Whitman氏は2011年にeBayのCEOから,HPのCEOに迎えられ,企業向け製品のHP Enterpriseとプリンタ,PCを担当するHPに会社を分割し,任期中に5万人をレイオフしたとのことですが,全体的には組織が簡素化され,開発のフォーカスも明確 に なったと受け止められています。その点では,前任のMark Hurd氏やLeo Apotheker氏より評判は良いようです。

  この4半期の売上は前年同期比で5%増,一株利益は$0.32で,ほぼゼロという事前のアナリストの予想より良かったのですが,メモリの値上がりとサーバのコ モディティー化で利益 としては厳しいところです。

  Whitman氏はNeri氏はテクノロジストと評しており,次の時代は財務の時代ではなく,テクノロジの時代と述べています。Neri氏は,Whitman 氏の時代に多く行われた企業買収よりも,自前のテクノロジの開発により力を入れるのではないかと見られます。

  なお,61歳のWhitman氏の退任と50歳のNeri氏のCEO就任は来年2月1日の予定です。

3.IBM-NVIDIAの Summitスパコン

  2017 年11月23日のThe RegisterがSC17で部分的に展示されたSummitスパコンについて報じています。Summitは,現在,オーク リッジ国立研究所に設置中で,来年の早い時期に全体の設置が終わると見られています。完成するとピーク演算性能は200PFlops程度になると見られ,現 在,Top500 1位の中国の太湖の光を抜いて1位になると見られます。

  計算ノードはPOWER9 CPU 2個とNVIDIAのV100 GPUを6個,512GBのDDR4 DRAMを搭載します。この計算ノード約4600台をデュアルレールのEDR InfiniBandのリンクでノンブロッキングのファットツリーで接続します。

  全体の消費電力は15MWとのことです。

4.HPEがAMDのEpycを搭載す る2Uサーバを発表

  2017 年11月21日のThe Registerが,HPEがAMDのEpyc CPUを使うサーバを発表したと報じています。DL385 Gen10というこのサーバ は2Uで2個のEpycを搭載し,Xeonを使うDL380のEpyc版です。 

  何しろ,Epycは4個のCPUチップをマルチチップパッケージに搭載したプロセサですから,コア数は32コアとXeonの28コアを4コア上回り,パッケー ジでは,メモリチャネルは8チャネル,PCIeは128レーンと充実しています。また,メモリデータの暗号化などセキュリティー機能はXeonよリ優れています。

  2個のEpyc 7601 CPUを使うサーバのSPECrate2017_fうp_base値は257,スループットを測るSPECfp_rate2006は1980で,これらの値はSPECが公 表しているリストに載っている2ソケットサーバの中では最高の値となっています。なお,お値段はまだ発表されていないそうです。

5.ストレージシステムの性能を測る IO-500でOakforest-PACSが1位を獲得

  2017 年11月22日のHPC Wireが,ストレージ・システムの性能を測るIO-500で,東大-筑波大のOakforest-PACSが1位を獲得し たと報じていま す。

  IO-500はIORとdtestという読み書きとメタデータアクセスのベンチマークを使って,大きなデータの読み書きと小さなデータの読み書き,そして findコマンドでのアクセスを行います。

  そして,4つの条件で測定されたバンド幅の幾何平均と5つの条件で測定されたIOPSの幾何平均の積で最終スコアを決めています。
 
  今回のSC17で発表されたIO-500に報告されたのは,9個の測定結果だけで,500にはかなり足りない結果です。1位はOakforest-PACSの 101.48,2位はKAUSTにShaheenにDataWarpのファイルシステムを使った場合で70.90,3位はShaheenでLustreを使った場 合で41.0となっています。

  Oakforest-PACSの1位はおめでとうですが,ちょっと,数が少なすぎてどのくらいの成果なのか判断が難しいところがあります。


  

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