最近の話題 2017年12月16日
1.東芝とWestern Digitalが和解多くのメディアが東芝とWestern Digitalの和解について報じています。ここでは,2017年12月13日のEE Timesをリンクしておきます。
Western Digitalは,東芝のFlashメモリを開発製造する子会社の売却の差し止めを求める訴えを起こしていたのですが,それを取り下げ,東芝とのJV契約を2027年以降まで延長することで合意すると見られています。また,WDが四日市工場のFab6の運営に関与する契約になるとのことです。
東芝が6000億円の増資に成功したことから,年度内に東芝メモリを売却しなくても上場は維持できることになり,WDの立場が弱くなり,WDも妥協することになったと見られています。
いずれにせよ,今までの共同運営の体制が維持されることになり,東芝にとってもWDにとっても良かったという受け取り方が一般的です。
ただ,6000億円の増資に応じた株主には,ものを言う株主も多く,東芝メモリを購入するBain Capitalを頭とする連合軍に参加する会社の数も多く,利害関係者が多く,なかなか難しい運営になりそうです。この体制で,Samsungに置いていかれない経営ができることを祈るばかりです。
2.PEZYが暁光のTop500/Green500性能を改善
PEZYは,11月のTop500リストで4位,Green500リストで5位を獲得した暁光スパコンのソフトウェアを改良し,HPL性能を20.41PFlops,エネルギー効率を16.34GFlops/Wに改善したと発表しました。
これは,Top500では,3位のスイスCSCSのPiz Daintを抜き3位となる性能で,Green500ではNVIDIAのDGX Saturn Volta版を抜く4位に相当する性能となります。惜しむらくは,Top500の性能提出の期限に1か月あまり間に合わなかったので,11月のリストには反映されません。
次回のリストは,6月に発表されますが,ここでは米国のSummitが登場する可能性が高く,そうなると暁光が3位を取るのは難しいことになります。
3.BaiduがデータセンターにAMDのEPYCプロセサを採用
2017年12月13日のHPC Wireが,BaiduがデータセンターにAMDのEPYCプロセサを採用すると報じています。これはMicrosoftのAzureでの採用に続くもので,AMDの10年ぶりのサーバマーケットへのカムバックとなります。
データセンターでは2ソケットのサーバが多いのですが,EPYCはシングルソケットでもPCI Expressは128レーン,メモリチャネルも8チャネル装備しており,普通の2ソケットサーバに負けないくらいのI/Oとメモリをつけられます。シングルソケットサーバを使えば,CPU 1個分のコストと消費電力を削減でき,これはデータセンターのとってはおいしい話です。
そして,1ソケットでもCPUコアは32個ありますから,多くの場合,十分な処理能力です。
ということで,AMDは1ソケットサーバを売り込んでおり,Baiduが最初に採用するのは1ソケットサーバとのことです。Baiduは,このサーバをAI,ビッグデータ処理,計算サービスなどに使うと言っています。
1ソケットで十分な数のPCI Expressレーンを持ち,DIMMインタフェースも8チャネルというのはコストパフォーマンスで,IntelのXeonを上回り,非常に高い競争力を持っていると思います。
4.Mont Blanc 2020プロジェクトが発足
2017年12月15日のHPC Wireが,EUのエクサスケールプロセサ開発に繋がるMont Blanc 2020というプロジェクトの発足を報じています。2011年から開始された一連のMont Blancプロジェクトの続きで,Mont Blanc 2020は次世代のビッグデータやHPC向けのプロセサの開発を行うとのことです。
ARMとBSC(Barcelona Supercomputing Center),Atos/Bullを中心とし,CEA,Forschungszentrum Jülich,KalrayとSemiDynamicsも参加するとのことです。予算は€10.1MでHorizon 2020プログラムの一環として実施されます。