最近の話題 2018年1月27日

1.Teslaが停車中の消防車に65mphで衝突

  2018年1月25日のEE Timesが,高速道路(Culver City内のInterstate 405)に停車中の消防車に,Tesla Model Sが65mph(時速104km)で突っ込んだと報じています。運転者はオートパイロットを使用してたと言っているとのことですが,まだ,第三者による確認は取れていません。

  なお,ドライバーはオートパイロットが運転しているのだから大丈夫ということで,飲酒していて,飲酒運転の疑いで逮捕されたとのことです。

  前に発生した事故処理のため,消防車は左端(中央分離帯側)の緊急車線とカープール車線をふさぐように止まっており,その前にパトカーが止まっていたとのことです。そこに後ろから来たTeslaが追突する形でぶつかったとのことです。幸い,誰もケガはせず,Model Sのドライバー(?)は歩くことができ,治療を拒否したとのことです。

  オートパイロットがオンになっていたとすると,なぜ,止まって赤色灯が点滅している消防車のような大きな赤い車を見逃したのかが問題ですが,まだ,調査が始まったばかりで事故の原因は分かっていません。

  一つ言えるのは,まだ,Teslaのオートパイロットに命を預けるのは時期尚早ということでしょうか。

2.IntelがSpectre,Meltdown対策を行ったチップを今年中に発売

  2018年1月26日のEE Timesが,IntelのKrzanich CEOが,決算発表の電話会議で,SpectreとMeltdown問題を解決したチップを今年中に発売すると述べたと報じています。

  Intelは,パッチを提供していますが,システムのリブートが起こるという問題が見つかり,来週まで,パッチの適用を待てというメッセージを出しています。Intelにとって当面の課題は,使い物になるパッチを提供することですが,その先は,性能の低下などがなく,SpectreやMeltwonが突くセキュリティーホールを塞いだCPUを作ることです。それを,今年末までに発売と期限を切ったわけです。

  投機実行をやめてしまうというのは,性能低下が大きすぎるので解にはならず,どのような改良を行うのかは興味があるところですが,それについてはKrzanich氏は触れていません。

3.ビデオの人物の顔を入れ替えるFakeApp

  2018年1月25日のThe Registerが,AIでビデオの人物の顔を入れ替えるFakeAppについて報じています。

  そのためには,ディープラーニングの学習ができる強力なGPUを搭載したパソコンと張り付ける顔を学習させるための大量の写真が必要で,簡単ではありませんが,その気になって頑張れば,個人でも手の届く範囲で実現できます。後は,アプリをダウンロードして走らせればよく,特別なAIの知識は必要ないとのことです。

  どれだけ学習がうまくいっているかにもよりますが,うまくやれば加工されたことが分からないくらいの出来栄えの,顔を入れ替えたビデオが作れるとのことです。

  ビデオに出てくるヒーローやヒロインを自分の顔にして,スター気取りというのは問題は少ないと思いますが,心配されるのは元カノの顔をポルノビデオの女優に張りつけるリベンジポルノなどが作られて,バラまかれてしまうような事態です。

  テクノロジ自体は悪くないのですが,良い用途はあまり思いつかないのですが,悪い用途はいろいろと思い浮かんでしまうのは困ったものです。それに,このようなフェイクビデオは,学習にはその人の写真を使ったとしても,表示される顔はAIが作った顔で,その人の写真ではない,創作物だという主張もできそうで,名誉棄損になるのかどうかも難しいところではないかと思います。

4.チェックアウト不要なスーパーマーケットAmazon Go

  チェックアウトが不要なAmazon Goストアについては日本の新聞でも報じられていますが,2018年1月22日のThe Inquirerが報じています。それによると,アプリをダウンロードしたスマホをかざすと入店でき,自動チェックアウトできるこのシステムは,Amazon従業員だけが買い物が出来る環境で試行され,このほど,一般の人が利用できる店舗が一つオープンしたとのことです。

  天井に設置したカメラで,どの商品を買ったかを識別するのですが,まだ,似たような外見の顧客を識別することや,子供が一旦,手に取った商品を別の棚に戻してしまうなどのケースの処理には問題があるとのことです。

  コンビニの人件費削減には期待される技術ですが,本格的採用には,まだ,時間がかかりそうです。

5.FacebookのAI開発の責任者のYann LeCun教授が退任,Andrew Ng教授はBaiduを辞職

  2018年1月24日のThe Registerが,FacebookのYann LeCun教授がAI開発の責任者を退任すると報じています。しかし,Facebookを離れてしまうわけではなく,ソーシャルネットワークのマシンラーニングの研究所のリーダーに就任するとのことです。

  LeCun教授は,アメリカの郵便番号読み取り機の開発で有名な,初期のころからディープラーニングの研究を行っていた学者ですが,FacebookのAI開発の規模が大きくなり,管理職の仕事の比率が増えてしまい研究ができないということから,AI開発の責任者を辞めたとのことです。

  また,BaiduのAI研究所のチーフサイエンティストとしてチームを率いていたスタンフォード大のAndrew Ng教授は,Baiduを去ったとのことです。

  この穴埋めもあり,Baiduは多くの研究者を採用して,研究所を増強しているとのことです。

  自然言語処理の専門家でIBM Watson研究所やMicrosoft,ATT研究所などで働いたKenneth Church氏と,カンサス大のJun Luke Han氏とラトガース大のHui Xiong氏を採用し,Business Intelligence Lab,Robotics and Autonomous Driving Labを新設して,これまでのInstitute of Deep Learning,Big Data Lab,Silicon Valley Artificial Intelligence Labと合わせて5研究所体制を作ったとのことです。

  Baiduの中国とアメリカのAI開発チームは文化的背景の違いから折り合いが悪く,それに嫌気がさして,Andrew Ng教授は辞めたのではないか,とThe Registerは書いています。

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