最近の話題 2018年2月10日

1.Ampere ComputingがARMアーキテクチャのサーバチップを発表

  2018年2月5日のEE Timesが,Intelの社長を務めたRenée James氏がCEOを務めるAmpere Computing社が,ARMアーキテクチャのサーバSoCを発表したと報じています。このARMサーバチップは,Applied Micro Circuits CorpがX-Gene 3という名称で開発していたものだそうです。

  AMCCはMacomに買収されたのですが,Macomは通信技術には興味があったのですが,プロセサはお荷物ということで売りに出され,Carlyle Groupという投資会社に買われて,Ampere Computingという会社になりました。

  このARMプロセサは,32コアのARM v8 CPUを搭載し,最大3.3GHzクロックで動作し,消費電力は125Wとのことです。各コアは32KBのL1I$と32KBのL1D$を持ち,2コアで256KBのL2$を共用しています。そして,チップ全体で32KBのL3$を共用しています。このチップは,シングルチップ構成に限定されており,マルチCPUのサーバは作れません。

  DIMMチャネルは8チャネルで,この点はCaviumのThunder X2と同じで,Xeonに比べて4/3倍のメモリバンド幅になっています。 I/Oは42レーンのPCIeGen3,4×SATA Gen3,2×USB2を搭載しています。

  CaviumのThunder X2やQualcommのCentriq 2400と真正面からぶつかるARMサーバチップで,IntelのXeonやAMDのEpycとも競合するという厳しい戦いになると予想され,Ampereが成功するかどうかは予断を許しません。

2.IntelがXeon D-2100を発売

  2018年2月7日のThe Registerが,2月12日にIntelがXeon D-2100を発売すると報じています。Xeon D-2100は14SKUが発表され,最大のチップは18コアを搭載し,クロックはベース値は1.6GHzで,All-Coreターボでは2.2GHz,Single-Coreターボでは3.0GHzとなっています。そして,各コアには1.375MBのL3$が付いています。メモリはDDR4が4チャネルです。

  この18コアのチップの消費電力は86Wですが,16コアでベースクロックが2GHzのSKUは110Wの消費電力となっています。お値段は18コアのチップが$2407,最小の4コアのチップが$213となっています。

  Xeon D-2100の14SKUは,Edge Server and Cloud SKU,Network Edge and Storage SKUとIntegrated Intel Quick Assist Technology SKUという3つのグループに分けられています。それぞれ,ここに書かれた分野向けにある程度の異なった味付けがなされています。

  Xeon DはAmpereなどのARMサーバチップほどのコア数は持っていませんが,低消費電力でメニーコア,価格も比較的安いということで,ARMアーキテクチャのサーバチップに対抗する製品として位置づけられているようです。

3.DELLがEpycサーバを発売

  2018年2月6日のThe Registerが,AMDのEpycプロセサを搭載したDELLのサーバの発売を報じています。PowerEdge R6415,R7415,R7425の3機種で,R6415は1Uのシングルソケットサーバ,R7414は2Uのシングルソケットサーバ,R7425は,2U2ソケットの高性能サーバです。

  記事にはAMDが作ったEPYCとXeon Skylake CPUの性能を比較したグラフが載っています。このグラフは$4000以上,$1800-$2500,$1000-$1800,$900-$1000,$500-$800という5つの価格レンジで性能を比較しており,Epycの方がXeonに比べて~29%~~74%性能/$が高いと書かれています。そして,価格が高い方は~29%と比較的差が小さく,低価格プロセサでは60%~%70%性能/$が高くなっています。

  なお,HPEは昨年11月にGen 10 DL385というサーバを発売しており,大手サーバメーカとしては,今回のDELLの動きは,それに続くものです。

4.中国が米国のSummitを上回るスパコンを開発中か?

  2018年1月29日のTop500 Newsが,オンラインの人民日報をひいて,中国が,米国の次期フラグシップのSummitを上回る可能性があるスパコンを開発中か?と書いています。

  天河1号,2号を開発したNUDT(国防科技大)が,2016年からプレエクサスケールのスパコンの開発を開始しているとのことです。そのマシンは,天河1号に比べて200倍速く,100倍の記憶容量を持つとのことです。天河1号は,ピーク性能が1.2PFlopsですから,200倍が正確とすると240PFlopsということになります。

  Summitの正確な性能値は発表されていませんが,2000PFlopsを上回ると言われています。中国としてはTop500の1位を明け渡したくないと思われるので,このマシンが,Summitを超える性能で,1位を狙っているという可能性は十分に考えられます。


  

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