最近の話題 2018年2月24日

1.AMDが組み込み用のEpyc,Ryzenを発表

  2018年2月22日のThe Inquirerが,AMDのZenアーキテクチャの組み込み用チップの発表を報じています。発表されたのは,Epyc 3000とRyzen V1000の2種類の製品です。これまでの組み込みプロセサに比べてCPUの性能が高いのが売りです。

  Epyc 3000は,ネットワーク,ストレージ,エッジコンピューティングなどの用途向けで,4コアから16コアの製品が提供されます。一方,Ryzen V1000は,Vega GPUを同一チップに集積したチップで,医療画像処理やゲーム,産業用システムなどの用途向けとのことです。Ryzen V1000は最大4コアのZen CPUと11 EUのVega GPUを集積しています。このGPUは3.6TFlopsの演算性能を持っています。

2.QualcommがSnapdragon 845を組み込むVRヘッドセットのリファレンスデザインを公表

  2018年2月21日のThe Inquirerが,QualcommのSanpdragon 845 SoCを組み込むVR用のヘッドセットのリファレンスデザインを公表したと報じています。Snapdragon 845はSamsungの7nmEUVプロセスで製造されるQualcommの次世代のスマホ用SoCチップですが,スマホへの組み込みだけでなく,専用のVRヘッドセットにも使ってもらおうという試みです。

  Snapdragon 845は,2400×2400,あるいは1400×1400の解像度で120フレーム/秒の描画ができる設計になっています。そしてこのリファレンスデザインでは,室内の様子を撮影してルームスケールのVRを実現するために2つのフロントカメラに加えて,ヘッドセットを付けている人の目を撮影してどこを見ているかを検出する2つの内向きのカメラを備えています。

  この内向きのカメラでどこを見ているかを検出して,見ている場所の描画は解像度を上げ,そこから離れた場所の描画は解像度を下げて描画負荷を減らすという表示ができるようになっています。これで描画負荷が減れば,消費電力を減らしたり,毎秒の表示フレーム数を増やしたりすることが可能になります。

  スマホを表示に使うVRヘッドセットもありますが,スマホの熱が使用者に伝わって臨場感を損なうなどの問題があり,専用ヘッドセットの存在意義があるとのことです。

3.IntelがSpectreとMeltdown対策のマイクロコードパッチを配布

  2018年2月21日のThe Inquirerが,IntelがSkylake,Kaby Lake,Coffee Lakeチップセット用のSpectreとMeltwon対策を行ったマイクロコードパッチの配布を開始したと報じています。最初のパッチは,問題が見つかり,適用しないようにという指示がIntelから出されましたが,今回のものはIntel社内だけでなく,顧客にも十分なテストを行って貰ったものであるとのことです。

  ただし,このマイクロコードのパッチは,一般のPCなどのユーザ向けではなく,ハードウェアパートナーむけの提供となっています。

  また,Intelは,前世代のプロセサであるBroadwell,Haswell,Ivy Bridge,Sandy Bridgeのマイクロコードパッチも開発中とのことです。

  マイクロコードのパッチは新規に出荷されるPCなどには適用できますが,既に一般ユーザの手に渡ったPCなどにどのように適用できるのかは不明です。

  Intelは30件のクラスアクション訴訟を抱えているとのことで,これらの顧客を放って置くわけにはいきません。

4.IntelがISSCCでディスクリートGPUを発表

  2018年2月19日のPC Watchが,ISSCCに於けるIntelのGPUのテストチップの発表を報じています。今回発表されたのは電源電圧制御のテストチップでISSCCでの発表がディスクリートGPUの商品化につながるかどうかは不明です。

  今回発表されたのは,Intel CPUに組み込まれているGen9 GPUを取り出したもので,3サブスライスで18個のEUというもので,性能的にはローエンドのものですが,GPUの全機能を持っています。このテストチップの技術的な目玉は,ブロックごとにIVR(Integrated Voltage Regulator)を組み込んで,きめ細かな電源電圧とクロック周波数コントロールやパワーゲートを行っている点です。

  また,PLLの再ロックなしにEUのクロックを2倍に切り替えるEUターボとよぶ機能も組み込んでいます。PLLの再ロックを行うと100サイクルオーダーの時間が掛かりますが,整数倍なら,PLLの再ロックは必要なく,1サイクルで切り替えられます。

  これまでGPUは全体が高負荷か低負荷かでクロックや電源電圧を切り替える程度の大雑把な制御が普通だったのですが,ディープラーニングの負荷のように,きめ細かい電力制御で消費電力が減らせるケースが増えてくると見込まれます。

  EUターボにより,54%のEU占有率の場合は,平均37%の性能向上が得られ,100%のEU占有率の場合,平均29%の電力低減が可能になるとのことです。

  IVRですが,これまで使っていたスイッチドキャパシタのVRに加えてDLDO(Digitally controlled Low DropOut)型のVRが使えるようになっています。以前のHaswell CPUで使われたインダクタを使うIVRは搭載されていません。

  

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