最近の話題 2018年4月28日

1.IntelがJim Keller氏を獲得

  2018年4月27日のEE Timesが,IntelがJim Keller氏を獲得したと報じています。Keller氏は,シリコンエンジニアリンググループのシニアVPに就任するとのことです。Jim Keller氏は,DECのAlpha開発チームに所属し,Mark Papermaster氏についてPA Semiに移り,PA SemiがAppleに買収されて,AppleでA4,A5プロセサを開発し,AMDに移ってZenアーキテクチャのプロセサを開発しました。そして,Zenの完成と成功が見えてきたところで,Tesla Motorsに移り,オートパイロット開発と低電圧回路開発を担当するVPを務めていました。

  それを,今回はIntelが引き抜いたということのようです

2.Intelが好決算を発表

  2018年4月27日のThe Registerが,Intelの好決算と2019年には10nmプロセスの量産が立ち上がると報じています。2018年1Qの売り上げは$16.1Bで,前年同期からは9%アップで,新記録です。その結果。利益は$4.5Bと23%の伸びとなっています。

  クライアントコンピューティング部門の売り上げは$8.2Bで,PCが縮小する中で3%の伸びを確保しています。データセンタグループは$5.2Bで,23%の伸び。中でもクラウドシステムは45%,コミュニケーションは33%と高い伸びを示しています。

  また,CEOのKrzanich氏はアナリスト等の質問に答えて,遅れに遅れているIntelの10nmプロセスが2019年の後半には立ち上がると述べたとのことです。Intelとその他のファウンドリでは定義が異なり,Intelの10nmは,他社の7nmに相当します。しかし,TSMCやSamsungは7nmの量産に近づいており,Intelの10nmが来年後半となると,かつての圧倒的なリードが無くなり,多少抜かれたという感じになります。

  Krzanich氏によると,10nmのプロセスの問題は歩留まりが低いことで,現在は,10nmの製品は細々としか出荷できていない。10nmではマルチパターニングで多くの枚数のマスクを使うため欠陥が増えて歩留まりが下がっているのが問題とのことです。しかし,2019年後半には,その問題を解決し,10nmの量産ができると述べています。

  Krzanich氏はどのように解決するのかは述べていませんが,EUVに切り替えて1回の露光で済ますようにプロセスを変更するのでは無いでしょうか?

3.AMDは黒字に転換

  2018年4月26日のHPC WireがAMDの決算を報じています。それによると,2018年1Qの売り上げは$1.65Bで,前年同期から40%の増収です。営業利益は$120Mで純利益は$81Mとなっています。前年同期の純利益は$3Mの赤字でしたから,今年は黒字転換です。

  Zenアーキテクチャの個人顧客向けのRyzenとデータセンタ向けのEPYCプロセサの販売が大きく貢献したようです。

4.理研のRAIDENが54 AI Flopsにアップグレード

  2018年4月23日のTop500 Newsが,理研のAdvanced Intelligence ProjectとRAIDEN AIスパコンがアップグレードされ,54 AI PFlopsになると報じています。RAIDENは当初は24台のP100 GPUを使うDGX-1を使っていたのですが,これを最新のV100 GPUを使うDGX-1に置き換え,54台の増設するとのことです。結果として,Tensorコアを使う混合精度のAI演算性能は54PFlopsとなります。これは国内トップのAI演算性能で,場合によっては世界一になるかもしれません。しかし,国内では産総研のABCIスパコンが550AI PFlops,米国のSummitは更に高い性能と見られ,取れたとしても,トップの地位は短命に終わりそうです。

  また,当初の32台のPRIMERGY RX2530サーバに64台のCX2250 M4サーバを追加するとのことです

5.この先,GPUは値下がりか?

  2018年4月26日のThe Inquirerが,MSIなどの台湾のGPUボードメーカーが,GPUボードの売れ行きが最大40%くらい落ち込み,値段も下がると予想していると報じています。

  このところ,GPUは仮想通貨のマイニング業者が買い占めて値上がりし,一般ゲーマーの手に入らない状況が続いているのですが,マイニング業者の購入の落ち込みが予想されるとのことです。その理由は,中国のBitmanという会社がEtherium専用のマイニングチップを開発しており,そのチップが3Qに発売される予定であるので,少し待っても,そちらを買う方が得ということで,GPUの購入を抑制しているとのことです。また,仮想通貨の値段が下がっているというのも,全体に投資を抑える方向に作用しています。

  ということで,今年の3Q,4QはGPUは値下がりすると見られますが,GPUの性能は毎年上がっていくので,マイニングのコストパフォーマンスが,来年はどうなるのかは分かりません。なお,NVIDIAがマイニング用のGPUを出すという噂もあったのですが,結局,NVIDIAはマイニングは主要なターゲットではないと宣言して噂に終止符を打ちました。ということで,NVIDIAは自動運転やスマートシティーに注力すると見られます。



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