最近の話題 2018年5月12日

１．QualcommがARMサーバチップから撤退か

　　2018年5月8日のBloombergが，QualcommがARMサーバチップからの撤退を計画していると報じています。

　　QualcommはCentriq 2400というARMアーキテクチャのサーバプロセサを開発しています。Centriq 2400は，Microsoftが採用を検討してるという噂もありますが，製品化を行った会社はSolarFlare位です。

　　このBloombergの報道が事実とすると，ARMサーバチップは大きな売り上げが見込めない，あるいは，開発パワーをスマホSoCに集中する方が重要ということでしょうか。

２．GoogleがTPU 3.0をチラ見せ

　　2018年5月9日のEE Timesが，GoogleがGoogle I/O 2018の基調講演で，今年中にPhoenix地区で自動運転タクシー（ride-hailing）サービスを開始すると発表しました。

　　そして，この基調講演の中で，TPU 3.0をチラ見せしたと報じています。詳細は発表されていませんが，ワンチップで100PFlopsを優に超える性能とのことです。そして，TPU 3.0は水冷になっており，パイプのついたコールドプレートが付いている写真が公表されています。なお，TPU 3.0についてはHPC Wireの記事の方が多少詳しいです。

　　ポッドの性能は8倍となっていますが，HPC Wireの記事の写真では，ボード当たりのチップ数はTPU2.0と同じ4個で，8倍の性能がどのように実現されているのかは不明です。しかし，TPU2.0のポッドとは異なるポッドの写真も公開されており，社内的にはTPU3.0は動いているようです。

　　写真を見たところ，水冷部品は，CoolITやASETECのものではない感じです。冷媒チューブの取り付けも水道のビニールホースを差し込んだだけという感じで，本当にこれでデータセンタで実用になるのでしょうか？

３．NVIDIAの決算は純利益が145%増

　　2018年5月11日のThe Registerが，NVIDIAの2019年度Q1の好決算を報じています。売り上げは$3.21Bで，前年同期比で66%アップです。データセンタ向けの売り上げが＄0.701Bと71%増加しており，ゲーム用の市場も強かったとのことです。

　　NVIDIAはQ1に，配当として$91M，自社株買いで$655Mを行い，合計$764Mを株主に還元したとのことです。

　　結果として，この四半期の純利益は$1.24Bで145%アップです。そして，このところ$230程度で推移していたNVIDIAの株は$260あたりまで上昇しました。

　　来期の売り上げ予想は$3.1Bで約$0.1Bの減収という予想です。

４．ASC 2018は昨年に続いて台湾の国立清華大学が優勝

　　2018年5月10日のHPC Wireが，ASC 2018のStudent Cluster Competitionの結果を報じています。それによると，昨年に続いて国立清華大学が総合優勝したとのことです。

　　Student Cluster CompetitionはSCで始まったのですが，今年のASCは，全世界から300チーム以上が予選に出場し，その中から20チームが選ばれて今回の本選に進みました。ということでASCは，Student Cluster Competitionとしては圧倒的な規模です。

　　また，国立清華大は，HPLでも42.99TFlopsという記録で1位を獲得しました。

　　今回，初めて本選に進んだ上海科技大が総合2位を獲得しました。また，上海科技大はAIの読み取りと認識アプリの学習において46.46という精度を実現し，e Prize Awardを獲得しました。

　　今回の本選に出場した20チーム全部がNVIDIAのGPUをアクセラレータとして使っており，P100/V100混合というチームが1チームありましたが，それ以外の19チームは全てV100です。ただし，NVIDIAは4台のV100を各チームに無償で貸し出したとのことで，8チームは4個のGPUだけの構成なので，皆NVIDIAにはこの貸し出しも効いています。

　　また，全チームがインタコネクトにはInfiniBandを使っており，Gigabit Ethernetのチームはありませんでした。

　　ASC 2018は南昌大学で開催されたため，湿度が高く，会場は，大量の高発熱のサーバを入れるコンピュータルームではないので，冷却が問題になりました。大型のポータブルの空調器の設置だけでは足らず，大きなプラスチックのたらいに氷の塊が入れられ，暑い場所に設置されました。