最近の話題 2018年5月19日

1.NVIDIAが7月に次世代グラフィックスボードを発売か

  2018年5月16日のTom's Hardwareが,NVIDIAが次世代のグラフィックスボードを7月に発表すると報じています。現在のGeForce GTX1080はPascalベースで,既に発売から2年が経過しています。データセンタ向けやプロフェッショナルグラフィックスではVoltaベースの製品が出ていますが,ゲーマー向けはPascalに留まっています。

  次世代のコンシューマ向けグラフィックスボードは,11シリーズあるいは20シリーズと呼ばれ,GTX1180あるいはGTX2080となると見られます。Tom's Hardwareは,このGPUはVoltaではなく,Turingであると書いています。そして,3584CUDAコアを搭載し,クロックは1.6~1.8GHzでメモリは8~16GBのGDDR6を搭載し,TDPは170~200Wとのことです。

  この仕様からはGPUチップはVolta V100のTensorコアや倍精度演算ユニットを除いたものではないかと思われますが,12nmプロセスではなく,7nmプロセスという噂もあり,TuringはVoltaとは別物かも知れません。

2.CaviumがThunder X2の一般販売を開始

  2018年5月14日のSemiAccurateが,CaviumのThunder X2の一般販売を報じています。また,2018年5月16日のThe Next Platformが性能ベンチマークの結果を報じています。

  Caviumは2014年にThunerXを出し,その次世代プロセサの開発を進めていたのですが,BroadcomがVulcanを開発チームともに売り出したのを買い取り,結局は,Vulcanの方をThunderX2として商品化したものだそうです。ということで,ThunderXは48コアですが,ThunderX2は32コアという設計になっています。

  ThunderX2はリングバスを使っており,4コアのグループごとにリングストップがあり,4チャネルのDIMMごとにリングストップがあります。さらに,PCIeなどのI/Oのリングストップと25Gbps×24本のCPU間接続のリングストップがあり,全体で12個のリングストップがある構成になっています。600GbpsのCPU間接続はキャッシュコヒーレントで,2ソケットのシステムが組めます。

  PCIeは56レーンあり,16レーンのアクセラレータを3台付けても8レーン残り,ここにSATAなどを付けられます。SATAやUSBなどは,Xeonの場合は,PCHなどを外付けする必要がありますが,ThunderX2は全て内蔵しているので,外付けの必要はありません。

  そして,メモリはDDR4 DIMMを8チャネル接続でき,6チャネルのXeonと比べてピークでは33%高いメモリバンド幅を持っています。

  Thunder X2は40SKUが発表され,32コア,2.2GHzクロックのCN9980-2200は$1795というお値段ですが,20コア,2.4GHzクロックのXeon SP-6148は $3,072です。このメモリバンド幅やPCIeの構成や値段のレンジは,AMDのEPYCとほぼ同じです。

  メモリバンド幅は2.5GHzクロックのThunderX2とXeon Platinum 8176を比較すると,Xeonが200GB/sに対してThunderX2は247GB/sで23%高い値になっています。また,2.2GHzのThunderX2とXeon Gold 6148のデュアルソケットシステムは,SPECCPU2017_Rate INTでは,GCCを使った場合,Xeonは146ですが,ThunderX2は214となっています。ただし,ICCを使えばXeonは216とThunderX2を僅かに上回ります。

  SPECCPU2017_Rate FPは,GCCではXeonは138に対してThunderX2は155となっています。ただし,ICCを使うとXeonは196とThunderX2を26%上回ります。

  また,各種のHPCベンチマークでは,STREAMやCloverLeaf,TeaLeafではThunderX2が上回り,SNAPではSkyladeが上回ると言う結果になっています。

  SPECでは,コンパイラの差でXeonが若干上回ったというところですが,ARM陣営もAllineaを買収したので,ARM向けのコンパイラの改善が進むことが期待され,差は縮まっていくと考えられます。

  性能の点ではアプリの性格にもよりますが,ThunderX2とXeonに大差はありませんが,お値段が6割くらいというのは大きなメリットです。

  なお,QualcomのCentriq2400は,このところ,中止とか売却という噂がでており,AMDはEPYCの成功でARMアーキテクチャのK12は開店休業,X-Geneを開発したApplied Microは潰れてMACOMの買収されましたが,MACOMはサーバ用プロセサに興味は無く,X-Gene3の開発はIntelの元社長のRenee James氏のAmpare社が引き継いでいるという状況です。X-Gene3は3月にSamplingを始めており,チップは出来ているようです。Ampareは2018年中頃までにAmpareの初の製品を発表すると述べており,それがX-Gene3とどういう関係になるのか明らかではありません。

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