最近の話題 2018年6月9日

1.MicrosoftがGitHubを$7.5Bで買収

  2018年6月4日のThe Registerが,MicrosoftがGitHubを$7.5Bで買収することに合意したと報じています。GitHubはオープンソースのソフトの開発プラットフォームであり,多くのソフトウェアの開発に利用されてきています。

  MicrosoftのSatya Nadella CEOも,GitHubの新CEOになるNat Friedman氏も,GitHubはMicrosoftとは独立に運営され,開発者第一の運営を行っていく。開発者の信頼を勝ち得ることが重要と述べていて,少なくとも短期的には運営方針に大きな変更はないようです。しかし,一部の開発者には動揺が広がっており,GitHubから,ライバルであるGitLabへ移るという動きも見られます。

  クラウドプロバイダなどもオープンソースのアプリケーションを使う世の中であり,GitHubの買収でオープンソースの世界で重きをなすことはMicrosoftにとって意味のあることとは思いますが,どのようにして$7.5Bの投資の元を取っていくのかは,よく分かりません。  

2.Intel Core i7-8086Kを7.24GHzにオーバークロック

  2018年6月8日のThe Inquirerが,Intel創立50周年を祝ってComputexで発表したCore i7-8086Kを,オーバークロッカーが7.24GHzまでオーバークロックしたと報じています。ビデオを見ると,このオーバークロックはComputexの会場で行われたようです。

  i7-8086Kは1コア動作ならオーバークロック状態では5GHzで動作するという仕様のチップですが,ハンドルネームDer8auer氏は,CPUの金属の蓋を除去してチップを露出させ,それを液体窒素に漬けて冷却しています。この状態で電源を1.85Vまで上げた状態で,7.1GHzまで動いたそうです。そこから,電源を少し上げて,ベースクロックをチューニングして7.24GHzまで動作させることが出来たとのことです。しかし,7.3GHzではブルースクリーンとなり動作しませんでした。

  7.24GHzは,クロック周期で言うと138.12psで,驚異的です。Der8auer氏はもっとサンプルがあって,選別ができたら,7.3GHzを超える記録が出せると述べています。

  しかし,1.85Vの電源電圧となるとゲート酸化膜の絶縁破壊のリスクが大きくなり,電源電流が大きくなることから金属配線のマイグレーションによる配線の寿命が短くなることが懸念されます。良い子は真似をしないようにしましょうね。

3.NVIDIAがインテリジェントマシン向けのJetson Xavierを発表

  NVIDIAは2018年6月5日にJetson Xavierの記者向けブリーフィングを行いました。これまでのNVIDIAの発表でVoltaアーキテクチャのコアを持つXavierの存在は発表されていましたが,その中身はブラックボックスでした。

  今回は,Xavierが512個のVoltaアーキテクチャのCUDAコアと2個のNVDLAユニット,8コアCPUを集積したチップであることが発表されました。消費電力は30W/15W/10Wと書かれており,必要な性能に応じて3レベルの電力が選べるようです。NVDLAはNVidia Deep Learning Acceleratorで,1024MACを含むとのことですから,Tensor Core 4個分の演算器を持っています。

  そして,演算性能は30DL TOPSとなっています。現世代のJetson TX2は1.3DL TOPSですから性能は22倍になっています。そしてCUDAコアのFLOPSは8倍,CPUのDMIPSは2倍,DRAMのバンド幅は137GB/sで,これは2.4倍,CODEC性能は4倍になっています。

  開発キットは$1299で販売されるとのことです。

4.ISC18 Student Cluster Competitionの出場チーム

  2018年6月6日のHPC Wireが6月24日からフランクフルトで開催されるISC18でのStudent Cluster Competitionの出場チームの発表を報じています。それによると,出場チームは,

  ドイツのハイデルベルグ大 Unversitats Rechenzentrum,HPCNC(High Performance Computing and Networking Center)はタイのチームで,タイからの出場は初めてです。次はブラジルのUniversidadre Federale Do Parana(UFPR)です。UFPRも初出場です。4番目はスペインのUniversitat Politehchnica De Cataluniaです。次は,SC18で優勝したシンガポールの名門のNanyang Technological Universityです。

  6番目は英国のEPCCチームです。7番目はドイツのニュールンベルグのFriedrichh-Alexsander Universitatのチームです。FAUもSCC常連の強豪チームです。8番目は南アフリカのCHPCです。CHPCも優勝経験のある強豪チームです。

  9番目は上海科技大,10番目は清華大で,この2チームは5月に行われたASC18の優勝,準優勝チームで,自動的にISCのコンペティションへの出場権が与えられています。とは言っても300チーム余りが出場するASC18の予選とその後の本選を勝ち抜いた強豪チームです。

  11番目はドイツのハンブルク大です。そして,最後の12番目のチームはポーランドのワルシャワ大です。

  かなりレベルの高い戦いになると予想されます。



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