最近の話題 2018年10月27日

1.Intelの10nmプロセスの進捗は?

  2018年10月26日のEE Timesが,Intelが10nmプロセスのゆっくりした進捗を報告と報じています。Intelのテクノロジとシステムアーキテクチャとクライアントグループの社長であるVenkata (Murthy) Renduchintala氏が10nmプロセスの歩留まりは,14nmテクノロジの場合と同じカーブをたどっている。2019年の年末のクリスマス商戦には間に合うと述べたと報じています。

  一方,2018年10月22日のSemiAccurateは,Intelが10nmプロセスの開発を中止したと報じています。もちろん,EE Timesの報道の方がIntelの正式見解ですが,SemiAccurateの情報網は侮れません。そして,SemiAccurateは,筋の悪い10nmプロセスの開発は中止したほうがよく,中止は正しい判断とコメントしています。

  どちらの報道が正しいのかわかりませんが,Intelの10nmプロセスの予定が,Renduchintala氏が言うほど確実ではない可能性があることは感じられます。そうなると,サーバやPCメーカーのAMDのEpycやRyzenを採用する動きに拍車がかかるものと思われます。

2.NovuMindのNovuTensor AIチップ

  2018年10月24日のEE Timesが,NovuMindというスタートアップのAIチップについて報じています。AIチップのスタートアップも数が多く,全部は覚えきれないほどですが,このNovuMindを設立したRen Wu氏はBaidoのDistinguished Scientistで,AMDで働いたワールドクラスのCPU設計者でもあり,AIとチップ設計の両面に通じた人だそうです。

  NovuTensorチップはデータセンター用の推論LSIで,3次元行列であるTensorをマトリクスに分解することなく扱える構造になっており,効率が高いとのことです。

  Novu Tensorチップは28nmというちょっと古めのプロセスで製造されているのですが,12nmプロセスのNVIDIAのXavierチップとの性能比較が載っています。Resnet18,34,50,70とvgg16,yolo2というネットとの比較で,resnet50以外はNovuTensorの方がレーテンしが短く,スループットが高いという結果になっています。また,イメージ/s/Wの電力効率ではNovuTensorが2倍以上という結果になっています。

  28nmプロセスで12nmプロセスのXavierにこれだけの差をつけるのは評価できますが,NovuTensorの詳細がわからないので,Apple to Appleの比較になっているのかどうかわかりません。

  来年1月にはPCIeカードにNovuTensorチップ搭載した開発ボードの提供を開始する計画で,NovuTensor 1個のボードは$999,4個のボードは$2,999とのことです。

3.Oracle CloudがAMD Epycのインスタンスを提供

  2018年10月23日のHPC Wireが,Oracle CloudのEpycインスタンスの提供開始を報じています。標準のE2インスタンスは$0.03/Core hourで,これまでの(Xeonベースの)インスタンスと比べると最大66%安いとのことです。

  E2インスタンスはサーバあたり64コアで,Xeonに比べるとメモリバンド幅が4/3倍になっています。この為,大量のメモリを使う用途や高いメモリバンド幅を必要とする用途に向くとのことです。Oracle Cloudでのサポートは,現在はU.S. East-Ashburn regionだけで,10月末にロンドンでのサポートが開始されるとのことです。

  なお,クラウドでのEpycのサポートは,既にMicrosoftのAzureやBaidoのクラウドで行われています。

  Mercury Researchによると,AMDの市場シェアは1.3%で,これは今年の初めの0.5%から2.6倍になっています。そして,今年末には5%に達すると見られています。

4.福岡でMicro51が開催された

  2018年10月25日のマイナビニュースが,福岡でのIEEE Micro 51の福岡での開催を報じています。IEEE MicroはISCAなどと並ぶ世界でトップクラスのコンピュータアーキテクチャの学会です。せいぜい,400人と見込んでいた参加者は600人を超えて,会場となったGrand Hyatt Fukuokaホテルに入りきらないので,それ以上の参加者を断るという事態になりました。

  Microの日本での開催は,51年の歴史で初めてで,観光も兼ねて日本に行ってみようという参加者も多かったと思われます。また,共同チェアマンの九大の井上先生が,韓国や中国から学生の参加者を多数勧誘したことも記録的な参加者数に効いています。

  会場で,何人かの方に,Yahoo Geocitiesが終わるけど,このページはどうなるのですかと聞かれました。手間もかかるので,この機会にやめようかという思いもあるのですが,困るという方が多いのに驚きました。また,マイナビの記事とあわせて,コピペで出張報告を書くという方も居られて,これも驚きました。

  11月のSC18の記事が書き終わったら,このページをどうするかちゃんと考えてみます。


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