最近の話題 2018年12月1日

1.AWSがAnnapurnaのarmプロセサを使うインスタンスを提供

  2018年11月28日のHPC Wireが,AmazonのAWSがAnnapurna LabのGravitonプロセサを使うarmプロセサのインスタンスを提供すると報じています。Annapurna Labはイスラエルの会社ですが,2015年にAmazonに買収されて,Amazonの子会社になっています。

  Graviton CPUはarmの64bitのNeoverseコアを16個集積するチップだそうです。(なお,a1インスタンスを使ってCPU情報を読んだらコアはA72だったという報告もあります。)

  Graviton CPUを使うEC2 A1インスタンスは,スケールアウト型のジョブでは,従来のEC2インスタンスより最大で45%安い値段になるとのことです。このEC2 A1インスタンスは1~16 vCPUのmidiumから4xlargeの5つのサイズがあり,US East (N. Virginia), US East (Ohio), US West (Oregon)と Europe (Ireland) で提供されるとのことで,現在は日本での提供はありません。

  値段表が発表されていますが,N.Virginiaセンターのオンデマンド価格は,1 vCPUのa1.mediumは$0.0255/Hour,16 vCPUのa1.4xlargeは$0.4080/Hourとなっています。

2.Microsoftが米軍に10万個のHoloLenzを供給

  2018年11月29日のThe Registerが,Microsoftが10万個のHoloLenzを米軍に供給する契約にサインしたと報じています。これまでの3年間に販売した数の2倍の数量だそうで,お値段は$480Mとのことです。

  使用目的は,いわゆる暗視ゴーグル+情報スクリーンで,敵を見付け,判断して,戦闘を行う能力を強化して,米軍の攻撃能力を高めるのだそうです。

  攻撃型の無人ドローンの開発にGoogleのAI技術が使われることに,Googleの研究者やエンジニアが抗議して,Googleは軍との契約に踏み込まなかったのですが,Microsoftは,私たちがWordに払ったお金も,軍が暗視装置に払うお金も,同じお金に変わりがないという判断をしたと見られます。

  もちろん,直接,(敵軍とは言え)人を殺す無人ドローンと,米軍の兵士の能力を上げて,場合によっては兵士の生存率を上げる暗視装置は違うという見方もあります。

  ACMの行動規範に照らしても,敵を殺すのを補助する装置と言えば,違反の可能性がありますが,敵を早く見つけて兵士の生存率を高める装置であれば違反ではないと思います。

3.UberのAIチームがモンテスマの復讐ゲームを制覇

  2018年11月28日のThe Registerが,UberのAIチームが,ついにMontesma's Revengeを制覇したと報じています。Montesma's Revengeは1984年にAtari 2600用に登場したゲームで,迷宮で出現する敵を倒し,鍵などのアイテムを集めて,次の部屋に移動することを繰り返して,ゴールに到達するというタイプのゲームですが,長いシーケンスが必要で,これまではAIでは完全に解くことはできていませんでした。

  詳細は省略しますが,Uberのチームは新しいサーチアルゴリズムとAIを組み合わせて,ゴールまで到達することに成功したのだそうです。

  しかし,ゲームの場合は,何回プレイしても同じ迷宮ですが,実際にロボットが何かを探す場合は,まったく同じセッティングではなく,状況が色々と変わっていたりするのが普通で,このアルゴリズムは使えないという批判もあるようです。まあ,あまり環境が変わらないという状況ならある程度は役に立つ可能性はあるという程度のようです。

4.NIPSの名前が変わる

  2018年11月22日のThe Inquirerが,Neural Information Processing Systemsの略称が変わると報じています。AIが大流行の現在,NIPSは大人気の学会なのですが,NIPSはスラングではおっぱいの意味があり,女性に評判が悪いこと,また,NipはJapと同じで日本人を軽蔑する呼び方でもあることなどからNIPSは具合が悪いという判断になったのだそうです。

  NIPSのホームページは,URLはhttps://nips.ccですが,表示されるページでは,NeurIPS|2018 Thirty-second Conference on Neural Processing Systemsとなっています。そして,https://neurips.ccでも同じ内容が表示されるようになっています。

  なお,32回のNeurIPSは12月2日から8日にかけて,カナダのモントリオールで開催されます。



  

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