最近の話題 2018年12月8日

1.12月6日のソフトバンクのスマホ停止の原因は…

  2018年12月6日のThe Registerが,イギリスにおける12月6日のスマホの大規模通信不良について報じています。

  通話不良の原因はエリクソン製のスイッチが動作しなくなり通信ができなくなったことが原因で,なぜ,動作しなくなったかというと,スマホの通信の交換を行うソフトウェアの使用権があることを示すCertificateの期限が切れてしまったので,ソフトウェアが使用できなくなってしまったのだそうです。

  ソフトの使用契約を延長するなりして,使用期限が切れないようにしていなければならないのですが,何らかの原因で,それが行なわれていなかったというお粗末です。

  日本のソフトバンクからは,まだ,このレベルの説明は出ていませんが,エリクソンのスイッチの問題と報じられており,イギリスと同じ問題と思われます。と書いた時点では日本の報道はなかったのですが,12月7日の日経の夕刊には載ってました。

  ソフトバンクに改善命令を出すと総務大臣が言っていましたが,Certificateが期限切れにならないかのチェックを頻繁に行うという程度でしょうか?

2.天河のグループがエクサスケールからゼッタスケールへの挑戦の論文を発表

  2018年12月6日のHPC Wireが,天河シリーズのスパコンを開発したNUDTのグループがエクサスケールからゼッタスケールへの挑戦とテクニックと題する論文を発表したと報じています。2020年~2022年頃に完成するエクサスケールスパコンの1000倍の性能のゼッタスケールスパコンですが,この論文では,完成時期は2035年で,消費電力は100MWと見積もられています。

  電力効率は10TFlops/W,ノード当たりの演算性能は10PFlopsとなっています。この電力効率は現在のレベルから3桁の改善が必要で,チャレンジです。

  ノード間の通信バンド幅は1.6Tbit/s,IOバンド幅は10-100PB/s,ストレージの容量は1ZBで,フロアスペースは1000m3です。

  論文は https://link.springer.com/content/pdf/10.1631%2FFITEE.1800494.pdf からダウンロードできます。言語は英語で,全9ページです。

3.RISC-V Summit開催

  2018年12月4日のEE Timesが,12月3日から5日にかけてSanta  Clara Convention Centerで開催されたRISC-V Summitでの発表を報じています。

  一番大きな発表は,Western Digitalの発表で,同社が開発している32bit組み込み用コアの詳細を発表し,オープンソース化すると発表しました。このコアはキャッシュコヒーレンシをサポートしますが,そのプロトコルとインタコネクトもオープンソース化されるとのことです。このコアは2020年に出荷されるコンシューマ向けのSSDのコントローラに使われるとのことです。また,Western Digitalは64bitのQRISC-Vコアの開発を開始していることも明らかにしました。

  そして,MicrochipのMicrosemi部門は,2020年の早い時期に同社のPolarFire FPGAに組み込む5コアのRISC-Vモジュールを発表しました。1コアはモニタコアと呼ばれ,性能の一定した確定的な動作を指せるコアで,残りの4コアは普通のRISC-Vコアとなっています。

  SiFiveは,NVIDIAのDeep Learning Acceleratorに基づく推論エンジンを組み込んだチップとRISC-Vのベクタ拡張命令をサポートし,HBM2メモリと56Gbit/sのSERDESを搭載する学習用のチップを出すと発表します。

  そしてGoogleはTensorFlow LiteをRISC-VのZephyr OS上で動かすとのことです。

4.QualcommがSnapdragon Tech Summitでラップトップ向けの8CXを発表

  2018年12月6日のThe Registerが,Snapdragon Tech Summitでのラップトップ向けのSnapdragon 8CXの発表を報じています。8CXは7nmプロセスで製造されるファンレスのラップトップ向けのSoCでWindows10を動かすためのチップです。8CXベースのラップトップが発売されるのは2019年の3Qの予定です。

  いわゆるAlways-onでバッテリは1日ではなく,複数日保つとのことです。

  そして,8CXは,835と比べて3.5倍速く,850と比べて電力効率は1.6倍とのことです。

  8CXは8コアで,4コアはA76,残りの4コアはA55ベースの設計で,big.LITTLE的に使って電力を減らします。通信は4G/LTE Cat 50のサポートで,現在は5Gのサポートはありません。WiFiは2.4GHz,5GHz,60GHzともにサポートされています。

  さらに,グラフィッスクスはAdreno 860でVulcan 1.1とDirectX 12をサポートし,4Kディスプレイと外部接続の2台の4Kモニタを接続できます。また,ハードウェアでVP9とH.265のデコードをサポートしています。メモリは16GBの2133MHz LPDDR4xを搭載し,メモリインタフェースは128bitです。

  そして8CX SoCはHexagon 685 DSPと第4世代のAIエンジンを搭載しています。

5.NVIDIAの研究者が撮影されたビデオから3D動画を作成する技術を発表

  2018年12月4日のThe Inquirerが,32回NuerIPSにおいて,撮影されたビデオから3D表示の動画に変換するという技術を発表したと報じています。ビデオそのままでは写っている対象の一部だけを変えるというような編集はできませんが,3Dモデルになっていれば,容易に編集ができます。

  内部的には,対象を個別に認識して,AIで足りない情報を補ってそれぞれ3Dモデルに変換し,それらの集まりから3Dグラフィックスで描画するという処理2を行っているものと思われますが,リアルタイムではないのかもしれませんが,現実的な時間で認識と3Dグラフィックス変換ができるのは驚異的です。

  そして,作られた絵が目立った破綻がなく,自然に見えるというのもすごいものです。

  これができると,必要な背景をビデオで撮影し,不要なものは削除し,必要なものを追加して画面を仕上げ,アバターを動かして動画を作るというようなことが可能になり,映画の製作や,ゲームの画面の作成コストを大幅に低減することができそうです。

  ただし,Seeing is Believing,証拠写真などは常に眉につばをつけて見ることになりそうです。


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