最近の話題 2019年3月23日

1.米国のAuroraスパコンはIntel,Crayの受注が決定

  2019年3月19日のEE Timesが,米国の初のエクサスケールスパコンとなるAuroraは,IntelとCrayの連合軍が受注することになったと報じています。Auroraは,元々は100PF級のプレエクサのスパコンとして考えられていたのですが,Intelの都合などで完成が遅れることから,2021年ころの完成に変更され,A21と呼ばれていました。

  正式にベンダーは決まっていないものの,元のAuroraと同じIntel,Crayの連合軍が受注するのは既定方針と見られていたので,今回の受注に違和感はありません。受注額は$500Mとのことです。

  どのようなハードウェアになるのかに関しては,受注の発表ではふれていません。

2.NVIDIAのGTC 2019では7nmの新GPUの発表は無し

  2019年3月にSan Joseで開催されたGTC 2019ではJensen Huang CEOがほぼ3時間にわたって基調講演を熱演しましたが,7nmプロセスを使う次世代のGPUの発表はありませんでした。しかし,GTCの最終日に行われたLawrence Berkeley 国立研究所の新スパコンのPerlmutterの発表で,多少の言及がありました。

  Perlmutterは,宇宙の加速膨張を証明し,ノーベル物理学を取ったSaul Perlmutter教授にちなんだ命名です。Perlmutterは現在のCoriの後継スパコンで,2020年の設置が予定されています。

  そして,PerlmutterはCrayのShastスパコンで,25GB/sのCrayのSlingshotインタコネクトを使います。CPUはAMDのMilanを使う予定です。そして,GPUは4X Volta-next GPUと書かれています。この4XはVoltaの4倍程度の仕様という意味と考えられます。このGPUが2020年に稼働のPerlmutterに使われるとなると,来年のGTCでは出てくる考えられます。

3.NVIDIAが自動運転車訓練システムの提供を開始

  2019年3月19日のThe Registerが,NVIDIAがDrive Constellation Simulatorと呼ぶ自動運転のシミュレータとDirve Constellation Vehicleと呼ぶ車のシミュレータからなるシステムの提供を開始したと報じています。

  Drive Constellation Simulatorは,車に付けられた各種のセンサーからの信号を作り出すもので,バーチャルに走行を行っている状況で,車のセンサーが生成する信号を提供します。そして,NVIDIAのDrive AGX Pegasus GPUで作られた実車のシミュレータが,仮想センサーからの信号に応じてハンドルやブレーキ,アクセルなどの操作を行って実車のシミュレータを走らせます。

  昨年から,NVIDIAは,このようなシステムを構築していることを述べていたのですが,実際に提供を始めたのは最近のことです。TOYOTAの自動運転の研究部門のToyota Research Institute-Adanced Developmentがこのシステムの導入を決めたそうです。また,The Registerの記事によるとドイツのTÜFも導入するそうです。

  Drive Constellationのようなシステムがあれば,実際に公道を走行するより短時間でシミュレーションができますし,事故がおこった状況とそのバリエーションを重点的に走らせてみることもでき,効率的です。また,サーバ数を増やせば,シミュレーションの性能は上げられます。なお,GoogleのWeimoは以前からこのようなシステムを構築して使っていると発表しています。

  右ハンドルと左ハンドルではセンサーからの信号は違いますし,同じコースを走っても時刻によって明るさが変わります。また,曇り,雨,雪などではセンサーからの信号が変わるので,大量の走行シナリオのセンサーデータを集め,それらをシミュレーションする必要があるので,膨大なサーバ群が必要になると思われます。



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