最近の話題 2019年3月30日

1.NVIDIAがデータセンターでゲームを実行するRTXサーバを発表

  今年のGTCでの基調講演でNVIDIAのJensen Huang CEOがRTXサーバを発表しました。8U筐体に40基のTuring GPUを詰め込み12本のラックに32台のRTXサーバを搭載します。これで10,000ユーザに1個ずつのTuring GPUのCompute Unitを使わせることができます。

  データセンター側にGPUを置けば,端末側では大きな描画能力は必要なく,非力なスマホでも,ハイエンドゲームが実行できます。ということで,Googleなどがストリーミングゲームに乗り出しているわけですが,これではPC向けのGPUが売れなくなり,NVIDIAにとっては大問題です。ということで,NVIDIAはデータセンタのサーバ側にGPUを売り込もうとしているわけです。

  もちろん,このサーバはゲーム以外のビジュアライゼーションにも使えますし,Turing GPUはディープラーニングにも使えます。ということで,このRTXサーバは売れそうな気がします。

2.MIPSがR6アーキテクチャをMIPS OpenのWebページでダウンロード可能に

  2019年3月28日のEE Timesが,MIPSが32bitと64bitのMIPS R6アーキテクチャをMIPS OpenのWebページでダウンロード可能にしたと報じています。これはMIPSアーキテクチャを今年のQ1にオープンにするという約束を守ったことになります。このWebページで公開されたMIPSアーキテクチャはライセンス不要で使用に当たってローヤリティーも発生しません。

  R6以外のアーキテクチャについても,今後の発表でオープン化を進めるつもりであるとのことです。

  ダウンロードできるものは,32bitと64bitもRelease 6 MIPS ISA,MIPS SIMD Extensions,MIPS DSP Extensions,MIPS Multi-Threading,MIPS MCU,microMIPS code compressionとMIPS Virtualizationです。

  また,MIPSコアを作るときに使うMIPS Open Tools,MIPS Open FPGAsも提供されます。

  そして,MIPSの最小のコアであるmicroAptiveのRTLも提供されますが,こちらはサンプルコードで,非商業的な利用に限定されています。

3.SamsungがFlashboltと呼ぶHBMの改良版を展示

  2019年3月27日のEE Timesが,NVIDIAのGTCでFlashboltと呼ぶHBMの改良版を展示したと報じています。Flashboltは3.2Gbpsと信号ピンあたりのデータ伝送速度が現在のものより33%向上しています。

  また,EE Timesの記事のタイトルでは密度を倍増と書かれていますが,記事の中ではFlashboltの容量については書かれていません。しかし,Anandtechの記事では16Gbitのダイを8枚スタックと書かれており,1スタックで16GBの容量で,NVIDIAのV100のように4スタック使えば64GBの容量になります。この場合,メモリのピークバンド幅は1.64TB/sとなります。

  今年の内には出すとのことですが,正式な出荷時期は明らかにしていません。

4.Intel/MobileyeとNVIDIAの安全モデルの衝突

  2019年3月25日のEE Timesが,Intel/MobileyeとNVIDIAの安全モデルが衝突していると報じています。

  NVIDIAは今回のGTCでSafety Force Fieldというモデルを発表しました。SFFは,自動運転車が,他の車両などに停止できる距離よりも近づかないというような原則を数式として表したもので,これを守っていれば衝突は起こらないように運転ができるというものです。

  NVIDIAは業界初と発表したのですがMobileyeは,Responsibility-Sensitive Safetyというものを2年前から発表しており,NVIDIAのSFFはRSSとほとんど同じものと主張しています。そして,NVIDIAとMobileyeは以前に一本化についての話し合いを持ったのですが,NVIDIAが途中で打ち切ったと指摘しています。

  NVIDIAは,MobileyeのRSSは多くの数式があり,完全に同じでないと主張した。Mobileyeは,SFFは中身の開示が不十分と主張していますが,真相はやぶの中です。また,アナリストによっては,人間でもいろいろなドライバが居て,同じ道路を走っているのだから,同じ安全モデルでない自動運転車が混在して走っても問題なく,一本化の必要はないという人もいます。

  ということで,自動運転車の安全モデルの行方は,まだ,混沌としています。

5.ベアメタルクラウド業者のPacketがAmpareの32コアarmCPUを採用

  2019年3月28日のThe Regisiterが,ベアメタルクラウドを提供するPacketが,Ampareの32コアarm CPUを採用と報じています。このCPUのクロックは3.3GHzです。これに128GBのDDR4 DRAM,480GBのSSDをつけ,20Gbpsのネットワークスループットを持つノードとしています。

  c2.large.armというこのノードは,シリコンバレーとダラスのセンターから即時に提供が開始されるとのことです。また,4月にはニューヨーク,アムステルダム,東京でも提供が開始されるとのことです。

  ベアメタルですから,サービスは無いのかもしれませんが,コストが安いのと性能が高いところがウリです。

6.AMDのNavi 20 GPUはレイトレーシングをサポートか?

  2019年3月28日のThe Inquirerが,RedGamingTechをひいて,AMDのNavi 20 GPUはレイトレーシングをサポートするかもと報じています。

  NVIDIAはTuring GPUでRTコアと呼ぶハードウェアを実装し,レイトレーシングを高速化しました。階層的なバウンディングボックスを作り,各光線がどのボックスに当たるかを見つける操作を行うハードウェアと見られます。

  AMDのNavi 20がどのような手段でレイトレーシングを高速化しようとしているのかは不明です。また,レイトレーシングをサポートしないNavi 10は,今年出てくると見られますが,Navi 20が何時になるのかは不明です。




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