最近の話題 2019年6月15日

1.Samsungは数週間以内にGalaxy Foldの出荷時期を発表?

  2019年6月11日のThe Inquirerが,Samsungのスポークスマンは数週間以内にSamsung Foldの出荷時期を発表すると述べたと報じています。

  Samsung Foldは折り畳み可能な有機ELスクリーンを持ち,開けばスマホでも大きなスクリーンが使えるというのがウリのスマホですが,報道関係者に試用させたら故障続出で,4月26日の発売が何度も延期され,6月中旬の現在,数週間以内に出荷時期を発表するという状態になっているようです。

  Huaweiも折り畳みスクリーンのスマホを発売するということで,どちらが先になるか競争していたのですが,Huaweiは米国の制裁などで,新型スマホを出せない事態になっており,Samsungとしては競争のプレッシャーはなくなっていることも,時間をかけた対応に影響していると思われます。

2.AMDがE3で3種のRadeon 5700 GPUボードを発表

  2019年6月11日のThe Inquirerが,E3でのNavi GPUボードの発表を報じています。Radeon 5700はComputexで発表されたのですが,細かい仕様は明らかにされていませんでした。

  今回,Radeon 5700,Radeon 5700 XT,Radeon 5700 XT 50th Anniversary editionという3種の製品が出ることが明らかにされました。5700はCompute Unitが36個で,Stream Processorの数が2304個,メモリは8GBのGDDR6で,クロックは1625MHz,5700 XTはCUの数が40でSPの数が2560,メモリは8GBのGDDR6,クロックは1905MHzとなっています。50th Anniversary Editionはクロックが1980MHzと若干速くなっています。

  お値段は,5700が$379,5700XTが$449,50th Anniversaryは$499となっています。

  RDNAアーキテクチャの新機能ですが,イメージをシャープにするRadeon Image Sharpening,遅延を少なくするRadeon Anti-Lagを持っています。そして,DisplayPort 1.4をサポートし,8K画像を60Hz,4K画像なら144Hzのフレームレートで表示できます。

  しかし,Ray Traceについては何も発表されませんでした。AMD GPUを使う次期XboxはRay Traceをサポートすると言われており,RT 5700とは機能が違うチップが使われるのか,Ray Trace機能はハードとしては持っているが,何らかの準備が間に合わないので発表されないのかのどちらかと思われます。

  Ray TraceをするにはBounding Volume Hierarchyの作成などのソフトウェアが必要ですが,私個人としては,このあたりのソフトウェアが間に合って居らず発表しないのではないかと思っています。

3.IntelがBarefoot Networksを買収

  2019年6月11日のHPC Wireが,IntelのBarefoot Networksの買収を報じています。Barefootはデータセンター向けのEthernetのスイッチチップとP4コンパイラなどのソフトウェアに関して先進的な技術をもっており,Intelのデータセンター向けビジネスの重要なコンポーネントとなると見られます。

  買収金額などは公表されていません。

4.アナログ推論チップのMythicが$30Mを調達

  2019年6月14日のEE Timesが,アナログで計算する推論チップを開発しているMythicがB1ファンディングで$30Mを調達した報じています。ベンチャーキャピタルなどからMythicが集めた投資の合計は,これで$86Mとなったとのことです。

  Mythicの方式は,Flashトランジスタに8bitの重みをアナログで書き込みます。電圧をかけるとそのFlashトランジスタを流れる電流は,電圧とコンダクタンス(抵抗の逆数)の積になります。これを複数並列に作って電流を足し合わせるとアナログの積和計算ができます。精度を出すために最後のAD変換の部分で補正を行っており,この部分の開発に時間が掛かったとのことです。

  Mythicの方式は,Flashトランジスタ1個で重みを記憶し,Flashトランジスタのアレイが積和計算を行うので,コンパクトに作れ,消費電力も小さくできます。ということで,エッジデバイス用に最適です。

  開発状況ですが,量産直前で,今年の後半にサンプルを出せるとのことです。

5.AndesがRISC-Vの無料スタートプログラムを開始

  2019年6月12日のEE Timesが,Andes TechnologyのRISC-V Free Startプログラムについて報じています。

  Andes TechnologyはプロセサコアなどのIPを販売している台湾のメーカーで,RISC-Vの開発,設計も行っています。

  ARMコアなどを使うには,まず,ライセンス契約をしてライセンス料を払ってIPを入手する必要がありますが,RISC-V Free Startプログラムでは,無料でAndesのN22コアをダウンロードして使うことが出来ます。従って,N22コアを使ったSoCの開発を始める敷居が低くなります。

  N22はCoremark性能が3.95とのことで,比較的簡単な制御用のコアですが,ドキュメントや開発システムなども揃った商用のコアです。

  また,GPIO,UART,SPIなどの簡単なI/Oインタフェースも含まれていますが,PCIeやEthernetなどは含まれていないようです。

  しかし,SiFiveは量産まではライセンス無料とか低額ライセンスのコアや提携メーカーのIOを提供し,設計もクラウド行える環境を用意し,スタートの敷居を低くする策を色々と講じています。

  また,armやMIPSも自社のローエンドのコアのオープン化を行ってきており,業界は,設計の開始は無料か低額で始められ,製品が量産できるようになったら,ライセンス料やローヤリティーを取るというビジネスモデルに移行しています。



  

  

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