最近の話題 2019年8月3日

1.ボーイングが 737 MAXのフライトコントロールソフトに基本的な修正

  2019年8月1日のSeattle Timesが,FAAが6月に行った検査で致命的な問題が見つかり,ボーイングがフライトコントロールのソフトに基本的な書き直しを行うと報じています。Seattle Timesはボーイングの地元で,事情に詳しい新聞社です。

  Boeing 737 MAXが相次いで墜落し,FAAは原因追及のため,Flight-Control Computerにビット化けを注入して再現を試み,重要な5つのbitを反転させて類似のエラーを起こすことに成功しました。そして,3人のテストパイロットが737 MAXシミュレータを操縦し,その状態からの回復を試みたのですが,そのうちの1人のテストパイロットは墜落してしまったという結果になりました。1人でもリカバリできない問題は致命的と判定されるそうです。

  なお,離れた5bitがエラーする確率は極めて低く,墜落した2機に,このエラーが発生したと考えるのは無理があります。

  しかし,この問題を追及している過程で,Flight-Control Computerが2つのセンサなどの片方からの入力しか使っておらず,フライトごとに使うコンピュータを切り替えるという構造になっていることが判明したとのことです。この構造では使っている方の仰角のセンサが故障すると,センサ信号は機首が上がっており失速の危険があると判断してコンピュータは機種を下げ,墜落してしまったということが起こります。

  なお,この構造は初期の737から変わっていないとのことで,737MAXで墜落するようになったのは,失速を回避するMCASソフトが変わったことが影響していると思われます。

  これを2つのセンサからの信号を同時に処理し,その結果が食い違った場合は,自動をあきらめてパイロットが操縦するというシステムに変更するそうです。

  なぜ,フライトごとにフライトコンピュータを切り替えるのか分かりませんが,仰角センサがSingle Point of Failureになっているのは信じられない設計ミスです。なぜ,Boeingの設計がこれを見逃し,FAAの形式証明のテストでも見逃されたのか理解できません。

2.Intelが10nmプロセスのIce Lakeを発表

  2019年8月1日のThe Inquirerが,Intelの10nmプロセスを使うIce Lakeプロセサの発表を報じています。

  いまやXXnmプロセスというのはファブによってまちまちでXXの数字はあまり意味を持たなくなっています。Intelの10nmプロセスはTSMCの7nmと同程度の寸法で,まあ,同世代のプロセスと言えます。勿論,TSMCの7nmは既にQualcommのスマホSoCに使われているので,キャッチアップですが,トラブルの続いているIntelとしてはやっと追いついたという感じです。

  最初の10nmプロセスの製品はUシリーズとYシリーズの合計11品種のラップトップ用のプロセサです。最上位がCore i7-1060G7で,4コア8スレッドで,ベースクロックは2.3GHzで28Wとなっています。そして,1コアだけにすれば4.1GHzで動かすことができます。キャッシュは8MBで,解のチップでは4MBになっています。

  11品種の内の8品種は4コア8スレッドですが,Uシリーズの最下位とYシリーズの下位の2品種は2コア4スレッドです。

  グラフィックスはGen11 Iris Proで,少なくとも上位のチップでは64 EUを搭載しています。

  このように発表はされたのですが,出荷時期はまだ,明らかにされていません。

3.Intelが第二世代Omni-Pathから撤退

  2019年8月1日のHPC Wireが,Intelが第二世代のOmni-Path(OPA200)から撤退と報じています。そして,ORNLのAurora21スパコンなどにはOmni-Pathは使われないようです。

  OPA200は200Gbit/sの伝送路を使い,その手ではHDRのInfiniBandと同じですが,Mellanoxは,既にHDRを今年の初めから出荷しており,最近は400Gbpsの製品を計画中と言われます。

  MallanoxはNVIDIAに買収され,資金的にも強力になり,開発で後れを取っているOPAで対抗するのは容易ではありません。また,Intelは最近,Barefoot Networksを買収しており,この先,ネットワークはBarefootの技術を使うという噂も聞こえてきます。

  いずれにしても,IntelのHPC戦略として鳴り物入りで登場したXeon PhiプロセサとOmni-Pathインタコネクトは姿を消すことになるようです。

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