最近の話題 2019年9月21日

1.HuaweiがGoogleアプリ抜きでMate 30スマホの発売を開始aがNeuPro-S推論エンジンを発表

  2019年9月19日のThe Inquirerが,Huaweiが最新のKirin 990 SoCを搭載するMate 30シリーズのスマホの発売開始報じています。しかし,米国のEntity Listに載っているHuaweiとGoogleは取引できず,HuaweiはこのスマホにオープンのAndroidをベースにしたOSを搭載するのですが,Googleアプリを搭載することができません。

  Mate 30とMate 30 Proでは,AndroidベースのEMUI 10を使用し,Google Play Store Coreの代わりにHuawei Mobile Services Coreを搭載するとのことです。Huaweiの集めたアプリが使えるのですが,どの程度の使い勝手になるのかが知りたいところです。

  お値段ですがMate 30が€799,Mate 30 Proが€1049とのことです。

2.AMDがEPYC7H12プロセサを発表

  2019年9月18日のTom's Hardwareが,AMDのRomeプロセサの発表を報じています。Romeという開発コード名にちなみ,この発表はイタリアのローマで行われました。

  7H12は64コア,128スレッド実行で,クロックは2.6GHz,ブースト時には3.3GHzまで上げられます。L3キャッシュは256MBで,TDPは280Wとなっています。1K個のロット価格は発表されていません。

  64コアですから,中央のI/Oチップに8個の8コアチップを接続したMCMを使っている筈です。

  7H12には7742と7702というシリーズのチップがあり,7742はクロックが2.25/3.4GHz,TDPが225Wで,1K個のロット単価は$6950となっています。7702の方はクロックが2.0GHz/3.35GHzでTDPは200Wで$6450です。

  価格が発表されていないところからも7H12は等速で動くチップをCherry Pickしたもののようです。

  200W~280Wという高発熱のチップですから,当然,水冷のコールドヘッドなどを使う必要があり,冷却技術のある会社にしか出荷しないとのことです。

3.CevaがNeuPro-S推論エンジンを発表

  2019年9月17日のEE Timesが,DSPなどのIPコアのライセンスを行うCevaが,MLの推論の計算を行うコアを発表したと報じています。

  AI用のエンジンを開発する会社は多く,CevaのDSPを使うようにCevaのニューロエンジンを使う会社がどれだけ出てくるのか分からないところはありますが,DSPのライセンスでは成功しているCevaとしては,ライセンスのメニューにニューロエンジンを持つことは必須と思われます。

  ということで,CevaはNuePro-Sというエンジンを開発し,ライセンスIPのメニューに加えました。EE Timesに掲載された記事ではあまり詳しい情報が載っていないのですが,NuePro-Sは畳み込み用のアレイを持ち,その周りに畳み込み用のコントロール,Scale,Activation,Pooling用の処理ユニット,メモリサブシステムとDMAを持ち,重みメモリとデータメモリを持っています。アレイのMAC演算器は8bit整数の場合は4096個のNPS4000,2048個のNPS2000,1024個のNPS1000というモデルがあります。

  クロックは1.5GHzとなっています。

  特徴的なところはCDNN InviteというAPIを用意しており,他社のAIエンジンも専用のデバイスAPIが必要ですが,CevaのCDNNコンパイラでサポートできる点で,CevaのNuePro-Sだけでなく,自社開発にAIエンジンも付ける必要があるというユーザには便利です。

4.Synopsysが35TOPSのビジョンプロセサを発表

  2019年9月16日のEE Timesが,SynopsysがAI付きのビジョンプロセサとしては業界最高の35TOPSのシステムを発表したと報じています。また,ADAS用のFunctional Safetyプロセサとして使えるradar/lidarなどの自動車用のセンサーを付けられるバージョンも発表しています。

  DesignWare ARC EV7xは16nm FinFETテクノロジで作られ,ベクタDSP,ベクタFPUとニューラルネットワークアクセラレータを集積し,ニューラルアクセラレータは1,2,4コアの構成を選択できます。これによりMACの数は880個から14,080個まで変えられます。

  これにより,前世代のEV6xと比較すると性能は4倍に向上しています。

  また,EV6xは2次元のイメージ入力を処理するように作られていましたが,EV7xはRecurrent Neurl Networkを処理できるように時間軸を加えたDNNアクセラレータと成っています。

  それ以外に,EV7xはセキュアなAESエンクリプションとリアルタイムのトレースを取るハードウェアモジュールが追加されています。

.IBMが量子コンピューティングセンターを開設

  2019年9月19日のThe Registerが,IBMがプーキープシ―工場の中にQuantum Computing Centerを開設したと報じています。IBMは,ネット経由でQuantum Computerを使わせており,これまでに1400万回の使用が行なわれ,200件の論文が書かれているとのことです。

  現在は20qubitのシステムが5台,14qubitが1台,5qubitが4台という設置ですが,1か月以内に10システムを追加して,合計14システムに増強され,増強の中には,現在,最高の53qubitのシステムが含まれるとのことです。合計の計算が合いませんが,古い5qubitのシステムが退役するのではないかと思われます。



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