最近の話題 2019年9月28日

1.WaveのCEOが9月に辞任していた

  2019年9月24日のEE Timesが,5月にWaveのCEOになったArt Swift氏は9月2日に辞任し,Sanjay Kohli氏が新たにCEOになったと報じています。

  EE TimesはArt Swift氏にインタビューをしたのですが,「短期的な資金調達のやり方でボードと不一致があった」という回答で,詳しいことは聞けなかったようです。

  Tirias ResearchのKevin Krewell氏は,「私の推測ではWaveのAIプロセサはNVIDIAやGraphCoreに勝てない」からではないかと述べています。

  Sanjay Kohli氏はRFなどの専門家で技術者のバックグラウンドの人ですが,AIの経験はないとみられ,Waveをどうするつもりかについては情報がありません。

  以前にも書きましたが,8月のHot Chipsでの発表予定がキャンセルされ,9月のAI Hardware Summitもスキップしており,開発上のトラブルは,ほぼ確実と思います。WaveはMIPSを買収してオープンアーキテクチャ化して広げる作戦だったのですが,MIPSに近い人たちは,ほとんど辞めてしまったという話もあるようです。

  Krewell氏は,Waveの顧客はMediaTekとIntelのMobileEyeだが,Tallwood VenturesはMIPSの売却を考えているのではないかと述べ,TiriasのJim McGregor氏は「今頃,Wavは全てのオプションを評価していると思う。MIPSを買ったのは良い考えではなかった。」と述べています。

2.AlibabaがGPUの10倍の能力を持つ推論チップを発表

  2019年9月26日のEE Timesが,Alibabaが杭州市で開催したカンファレンスで,CTOのJeff Zhang氏がGPUの10倍の性能を持つHanguang 800という推論用チップを発表したと報じています。

  製造プロセスはTSMCの12nmで,トランジスタ数は17Bと発表されていますが,チップサイズや消費電力などは分かりません。しかし,Zhang CTOは,このチップはインタネット会社によって開発された初の大きなチップであると述べており,相当,大きなチップであることは間違いないようです。ResNet50-v1を使った画像認識では78,563イメージ/秒の性能とのことで,現在のNVIDIAのT4 GPUのMLPerfの値は10,000に達しないので,10倍近い性能です。

  また,電力効率も高く,画像認識で500IPS/Wを達成しています。これは競合チップの4倍以上の効率とのことです。

  Alibabaはどちらかと言えばソフトの会社ですが,Alibabaの研究部門であるDamo AcademyがPingtouge Semiconductorという半導体開発会社をを昨年8月にスピンオフしたとのことです。AlibabaはBlock chainのLSIも開発していますし,RISC-Vベースの強力なエッジプロセサの開発も行っています。また,最近は量子コンピュータの開発も手掛けており,ハードウェアの開発能力はかなり高いと考えられます。

  なお,Alibabaのデータセンタでは,既にHanguang 800を各種の推論jobに使用しているとのことです。

3.Intelが第2世代Optane SCMを発表

  2019年9月26日のThe Registerが,Intelの第2世代Optane SCMの発表を報じています。

  それによると,Barlow Passと呼ばれる第2世代のOptaneは2020年にリリースで,14nmプロセスを使うCooperlake XEONや10nmプロセスを使うICE Lakeと同時期に出てきます。そして,Alder Streamという第2世代のOptane SSDも出てきます。また,3DNANDのSSDは96層,および144層と書かれています。

  その後,Sapphire Rapids CPUの時代には第3世代のOptaneメモリが登場し,Optane SSDや3DNAND SSDも次世代になると書かれています。

  そして,第2世代のOptaneは4層になり,ダイあたりの容量が2倍になるとのことです。

4.改良型のGalaxy Foldのスクリーンが壊れた

  2019年9月27日のThe Inquirerが,TechCrunch誌のBrian Heaterエディタに評価用として提供された改良型のGalaxy Foldが24時間の通常使用で壊れたと報じています。最初の評価用ユニットのようにブラックスクリーンではなく,待ち受け画面として表示される2枚の蝶の羽の間に明るい塊が表示されるようになったとのことです。なお,Heater氏は最初の評価機も使ったのですが,こちらでは故障は起こらなかったとのことです。

  The Inquirerが把握している故障はこの一例だけで,設計上の問題ではなく,偶発的な故障という可能性もあります。

  しかし,$2000近くの高価なユニットですから,1台とは言え,すぐに壊れるようでは困ります。

  開けば2倍の大きなスクリーンというのはそんなに意味があることなんでしょうかね。電車の中でも多くの人がスマホをいじっていますが,スクリーンが小さくて困っている人はあまり見かけません。開いて2倍のサイズになったら持ちにくくて困るという人の方が多いのではないかと思いますが…



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