最近の話題 2019年10月5日

1.IntelOneAPI

  2019年10月4日に開催されたIntel Developer’s Conference in Tokyo 2019において,Intelの開発しているOneAPIの基本的な考え方が明らかにされた。

  Intelは汎用のスカラプロセサ,ベクトル処理のXeグラフィックス,FPGA,Nervanaのニューラルプロセサの4種のプロセサを持っている。これらのそれぞれに別々にプロ恨むを作るのは非常に工数がかかって大変であるので,一つのAPIにまとめて,そのAPIでプログラムを開発すれば一つのソースプログラムから,それぞれのプロセサのプログラムが自動的に作れるというのがOneAPIの目標である。

  しかし,実際には多くのライブラりが用意されており,ライブラリを使うことにより効率的に目標とする機能のプログラムを作れるようにする。具体的にはDeta Parallel C++言語で記述し,各種プロセサをサポートするメカニズムはChronousのSYCLを使うという。

  そして性能が出ないと使われないので,ライブラリを頑張ってチューニングして性能を出すのだそうです。

  さらに,OneAPIを業界標準規格にしていくとのことです。Intelワールドの中ではやれるのかも知れませんが,プロセサを作っている大部分の会社がData parallel C++でOneAPI用のライブラリを書くなんてことはかなり大変だと思います。

  また,XilinxはAI エンジンなども入ったVersalに向けてVitasという開発ツールを発表しましたが,業界標準ではなく,ローカルなものが乱立するというのも望ましくない将来です。

  しかし,Intelはベータ版のOneAPIを11月にリリースする予定だそうです。

2.Intelは3D Xpointメモリを前面に出した発表

  2019年10月4日に開催されたIntel Developer’s Forum in Tokyo 2019において,3D Xpointメモリを使うOptane DCを前面に出した発表を行っていました。

  3D Xpointメモリは,DRAMに近いアクセス速度で,かつ,不揮発性の記憶ができるというメモリです。このメモリの適した用途の一つとして,SAP HANAのようなメモリデータベースを上げていました。DBのデータを全部DRAM上に置く,メモリデータベースは高速でリアルタイムのデータベースとして使えるのですが,瞬断などでDRAM記憶にエラーが発生すると全データをHDDから読んで復旧する必要があり,長い時間が掛ります。この期間はデータベースのアクセスが出来なくなってしまうので業務に差し支えます。

  しかし,DRAMの代わりに(3D Xpointメモリを使う)Optane DC Persistent Memoryを使えば,瞬断でも記憶は消えないので,短時間でリカバリができ,データベースのリアルタイムアクセスに対する影響は小さくなります。このようなケースではOptane DCメモリの高価な点を考慮してもメリットがあるというわけです。

  また,IntelはOptane DC Solid State Driveという製品も出している。こちらはFashnoSSDのキャッシュとしての性能向上を意図している。

  3D Xpointメモリは2層で作られていますが,4層に積む技術の開発に成功したとのことで,高価な3D Xpointメモリも安くなることが期待されます。

3.Intelが3D NANDのロードマップを発表

  2019年9月26日のPC Watchが,Intelが9月26日にソウルで開催したMemory & Storage Day 2019 での96層QLCの投入の発表を報じています。現在のIntel 660pという製品では64層QLCですが,96層になると単位面積当たりのbit数が1.5倍に増加します。

  そして,2020年にはArbordale+というコードネームで開発されてきた144層QLCを投入予定だそうです。ついにFlashも100層超えの時代ですね。

  また,QLCはQuad Levelであり1セルに4bitの記憶ですが,Intelは5bitを記憶させる技術の開発に成功していることを明らかにしました。5bit/cellとなると,32アナログレベルの記憶が必要であり,アナログメモリといった趣です。各種の補償技術を使っているのでしょうが,かなり難しい技術であると思われます。

4.Underwriters' LabがUL4600のドラフトを公表

  2019年10月2日のEE TimesがUL4600のドラフトについての記事を載せています。UL4600は自動運転車の安全規格ですが,従来,作られてきたボトムアップの規格ではありません。

  Underwriterは,保険業者という意味で,UL規格は保険を支払わなければならないような事態を出来るだけ減らす目的で作られています。従って,結果として安全性が高まれば良く,どうやるのかはそっちで考えてという面があります。

  そのため,このような危険は想定しているか,それにはどのように対処しているのか,それが有効であることを説明できるかなどをチェックするのだそうですが,具体的にどのような規定になっているのかは,この記事を読んでもよく分かりませんでした。



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