最近の話題 2019年10月26日
1.GoogleがQuantum Supremacyを実現,IBMはそれを否定
2019年10月23日のNatureの150記念号にGoogleの53Qubit SycamoreマシンでのQuantum Supremacy実証の論文が掲載されました。
2019年10月22日のThe Registerが,このGoogleの量子優越の実現の発表に対して,IBMの研究者がGoogleのやった乱数の発生は,通常のコンピュータ(Summitスパコン)で2.5日で計算でき,Googleの量子コンピュータより忠実度の高い計算ができる。Quantum Supremacyを実証という表現を使うべきではないとクレームをつけていると報じています。
Googleの53 Qubitの量子コンピュータは,20段の量子ゲートのマシンで,2Qubitのゲートを430個,1Qubitのゲートを1113個使っており,Total Fidelityは0.2%とのことです。
この規模の超電導量子計算ハードウェアを作ったのは称賛に値するが,RAMとハードディスクを使った普通のコンピュータでシミュレーションしても2.5日で計算でき,アルゴリズムをチューニングすればもっと速くなる。Googleの言う1万年は保守的なワーストケースの見積もりと言っています。
量子コンピュータでは3分20秒で計算できたとのことですが,これは100万回,同じ計算をやらせてその結果をサンプルするのに要した時間だそうです。この100万回の結果を統計的に処理して,最終的にこれが正解という結果を出す過程にかかる時間は3分20秒には入っていないようです。
2.IntelのXeグラフィックスはデュアルGPUをサポートか
2019年10月24日のThe Inquirerが,Linux 5.5カーネルのグラフィックスコードは,Intelの内蔵GPUと外付けのXe GPUのマルチGPU構成をサポートするように作られているようだと報じています。
10nmのIce Lakeに内蔵のIris Plus GPUは,それだけでも3Dグラフィックスができる程度の性能を持っており,それにAMDやNVIDIAのディスクリートGPUと肩を並べるXe GPUボードが付けられれば,Intelグラフィックスの優位性をアピールできると思われます。
3.SamsungがS10スマホの指紋認証バグを解決
2019年10月24日のThe Inquirerが,SamsungのS10,Note 10,Note 10+,S10+,S10 5Gモデルで発生している指紋認証バグを解決したと報じています。
バグの原因は,シリコーンのスクリーンプロテクタの中には,シリコーンの部分にパターンが作られているものがあり,そのようなスクリーンプロテクタを使っていると,指紋を登録するときに,超音波の指紋センサがそのパターンを指紋として登録してしまうので,その後,誰の指でも認証してしまうようになってしまうとのことです。
超音波で指紋の凹凸を読むセンサの場合は,スクリーンプロテクタの表面に目に見えなくても凹凸パターンが作られているとそれを読んでしまうのはやむを得ないように思います。
Samsungはシリコーンを使ったプロテクタの使用を止めるように強く勧めているとのことです。しかし,パッチを入れた場合は,シリコーンのプロテクタがあっても,一応は読めるようにはなったのでしょうか?
4.MicronがX100 3D Xpoint SSDを発表
2019年10月25日のHPC Wireが,Micronの3D Xpoint SSDの発表を報じています。X100と呼ぶこのNVMeドライブは,最大2.5MIOPSのアクセス速度で,これは世界最高とのことです。書き込み,読み出しのバンド幅9GB/s,read/writeのレーテンシは8usで,これはNANDベースのSSDと比べると11倍速いとのことです。
2015年に,MicronはIntelと協業して3D Xpointの開発を始めたのですが,その後,袂を分かち独立して3D Xpointの開発を進め,このほど製品発表にこぎつけたものです。
1Uサーバ用のフォームファクタのSSDを作ったり,DRAMに近いアクセスができる不揮発性のデバイスを作ったりとIntelの方が動きが派手で目立ちますが,SSDの開発という点ではMicronも頑張っていたようです。