最近の話題 2020年1月18日
1.Microsoftが2030年にカーボンネガティブの達成を宣言
2020年1月17日のThe Registerが,Microsoftが2030年に二酸化炭素の排出をマイナスにし,2050年には1975年以降に排出した二酸化炭素の量を回収すると発表しました。
異常気象の目に見える加速から,米国の先進企業は温室効果ガスの削減を強力に進めています。
Appleは,2019年には2012年に比べて二酸化炭素の排出を35%減らし,AppleのAWSは2018年の再生可能エネルギーの使用比率が50%以上になっています。
そして,Googleは2007年から温室効果ガスの排出ゼロのカーボンニュートラルを実現しているとのことです。
しかし,1975年以降に既に排出してしまった二酸化炭素を回収するというMicrosoftの今回の宣言は一歩進んだ取り組みです。
2.AppleがエッジAIのXnorを買収か
2020年1月16日のEE Timesが,エッジ向けのAIを開発しているXnor社を買収したという情報が流れていると報じています。Xnorは3年前に創立されたスタートアップで,創立者のAli Farhadi氏とMohammed Rastegari氏は画像の中のObjectを検出するYOLOニューラルネットの開発者として有名です。
Xnorの推論ネットワークは,2値のデータと2値の重みを使うバイナリのネットワークで計算が簡単で低電力の推論ができます。Latticeの$2.00のECP5 FPGAを使った小型ボードのモジュールは,48mWの消費電力で毎秒32フレームの速度で,人間の検出ができるとのことです。このモジュールは消費電力が小さいので,小型の太陽電池で駆動でき,監視カメラなどに最適です。
GeekWireによると買収価格は$200Mとのことです。
Appleは先週の報道のように,Imaginationとのライセンス契約の再開やイメージフュージョンの英国のスタートアップのSpectral Edge社の買収など,Appleは活発に技術の取り込みを図っています。
3.SiFiveとCEVAが提携
2020年1月8日のThe Registerが,RISC-Vコアのライセンスなどを行うSiFiveがDSPの大手メーカーのCEVAとの提携を発表したと報じています。
CEVAはAudio用のCEVA-BX DSP,Vision用のCEVA-XM DSP,そしてNeuPro AIプロセサを持っており,この提携により,SiFiveはRISC-VコアとこれらのDSPを組み合わせてエッジ向けのAIチップを作ることができるようになります。この提携により,CEVAのDSPはSiFiveのDesignShareプログラムに組み込まれ,これまでのSiFiveのIPと同様に利用することができるようになります。ということで,SiFiveのユーザのAI処理のIPの選択の幅が増えます。
SiFiveのコアを使用している会社は150社近くあり,これらの会社が商品の付加価値を高めるためにCEVAのDSPを組み込んでエッジでのAI処理を行ってくれれば,CEVAにとっても嬉しい話です。
4.Jack Dongaarra教授が2020年のComputer Pioneer Awardの受賞者に決定2020年1月15日のHPC Wireが,2020年のComputer Pioneer Awardはテネシー大のJack Dongarra教授に決まったと報じています。高性能の数値計算の発展に大きな功績があったというのが,選ばれた理由です。
Dongarra 教授は,Tenesee大の教授以外に,Oak Ridge国立研究所,マンチェスター大にも勤めており,現在も高性能数値計算の発展に貢献しています。
なお,Awardが実際に授与されるのは,今年の5月27日となります。
5.FAAの監査でB737 Maxに新たなバグを発見
2020年1月17日のThe Registerが,先週のFAAの内部監査でソフトウェアのバグが発見されたと報じています。2つの搭載コンピュータでスタートアップが行なわれたときに,双方の状態が矛盾した状態になってしまうという問題だそうです。
この問題が解決するまで,B737 Maxの飛行再開は延期されるとみられます。