最近の話題 2020年2月8日

1.IntelがNNP製品に見切りをつけ,Habana LabsのAIエンジンに統一

  2020年2月3日のEE TimesがIntelがNervanaのNNP-IとNNP-T製品に見切りをつけ,最近買収したHabana LabsのGaudiとGoyaを使うことを発表したと報じています。Spring Hillの方は既に出荷を約束した顧客への供給責任は果たすとのことです。一方,開発が遅れており,やっと,昨年12月のNeurIPSで発表されたSpring Crestの方は開発を止めるとのことです。

  IntelのNNP-I(Spring Hill),NNP-T(Spring Crest)製品は昨年の秋に発表された主力のAIチップですが,Intelは昨年12月16日にHabana Labsの買収を発表しました。その時から,IntelはNervanaをどうするのかという疑問が出ていたのですが,今回,Nervanaの製品は切り捨て,HabanaのGaudiとGoyaのラインに一本化することが明確にされました。

  Nervanaのラインは製品としては無くなるわけですが,$400Mの買収で獲得したNervanaの従業員はIntelに吸収され,IntelのAIチップの開発を強化するとのことです。と言っていますが,多くのNervana側のエンジニアの履歴書が出回っているといわれています。一方,HabanaもIntelの一部になるのですが,HabanaはIntel社内の独立の組織として残るとのことです。

  EE Timesは,Habanaの強みの一つはRoCE(Remote memory access over Converged Ethernet)をチップに内蔵しており,チップ同士をつないで,より大規模なネットワークが作れる点で,Intelの顧客の中にもネットワーク機能の内蔵を望む声が出てきていると書いています。

  この度,Nervanaを切って,Habanaに替えるというAIチップの路線変更を行ったのですが,低電力のビジョンAIを開発するMovidiusの開発路線については変更はありません。

2.名古屋大学が富士通のPRIMEHPC FX1000スパコンを導入

  2020年2月3日のHPC Wireが名古屋大学が富士通のPRIMEHPC FX1000スパコンを導入すると報じています。FX1000はarmアーキテクチャのA64FXプロセサを計算エンジンとして使っており,日本の次期フラグシップスパコンとなる富岳の小型版です。

  名古屋大学が設置するのは6ラック,2304ノードのシステムで,ピーク性能は7.782PFlopsでメモリは72TBとなっています。この数字から,1ノードのピーク演算性能は3.3776TFlopsで,1ノードには48個の計算コアがあるので,コア当たりの性能は70.367GFlopsとなります。ベクトル演算器は512bit長で積和演算を行うので,FP64で,サイクル当たり32演算で,クロックは約2.2GHzというところでしょうか。

  それ以外に,名古屋大学にはXeonとNVIDIAのV100 GPUを使うシステムも導入され,こちらのクラスタのピーク演算性能は7.489PFlops,メモリは82TBとのことです。また,ピーク77.41TFlopsのHPEのSuperdomeFlexシステムと537.6TFlopsのHPEのProLiant DL560のクラスタも導入し,これら4システムの合計のピーク演算性能は15.88PFlopsとなります。

  この名古屋大学のシステムの稼働は2020年の7月を予定しています。

  国内でのA64FXプロセサを使うスパコンの導入を発表したのは,理研の富岳と今回の名古屋大学の2システムですが,A64FXはCrayがCS500スパコンで採用し,それの導入を予定している顧客は,Stony Brook University,RIKEN Center for Computing Science,Oak Ridge国立研究所,University of Bristolなどが上がっているとのことです。

3.IntelのXeonが近々大幅値下がりか?

  2020年2月6日のSemiAccurateが,Intelは近々Cascade Lakeの改良版のCascase Lake Refreshを発表し,定価はともかく,実質的に大幅値下げを行うと書いています。Cascade Lakr R CPUは8コアから28コアで18品種が発表されるとのことです。

  ADMのRome CPUは,例えば64コアのEPYC 7742は$6,950で,28コアのCascade Lakeが$10,009であるのに比べて大幅にお買い得です。これに対抗するため,大幅にCascade Lake Rは大幅に値下がりするというのがSemiAccurateの味方です。一方,Cascade Lake Rはコア数が多少増えたり,性能が上がったりしていますが,値段はこれまでと同じで,性能アップ分が値下げという見方もあります。


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