最近の話題 2020年2月15日

1.今年のMobile World Congressは取り止め

  2020年2月10日のEE Timesがエリクソン,LG,NVIDIA他が今年のMovile World Congressへの参加の取りやめると報じています。WWCは2月24日から27日に掛けてスペインのバルセロナで2月4日から27日に掛けて2月24日から27日に掛けて開催されるスマホなどのモバイル関係の10万人が集まる世界最大規模のコンベンションですが,今年はコロナウイルスの感染の危険のため,参加を取りやめる企業が続出しています。

  EE Timesは,Amazon,LG,NVIDIA,Erricsson,Viaviが不参加,Intelも参加を見送ると報じています。また,ロイターは日本勢ではソニーとドコモが不参加と報じています。そして,マイナビニュースなどは主催者(GSMA)は湖北省からの参加者を入場禁止とし,中国からの参加者はMWCの14日前から中国を出国しており,新型コロナウイルスの影響を受けた人と接触していない事を自己証明する必要があるとのことです。

  と書いたら,12日に,今年のMWCは取り止めと発表されました。大手の出展社のブースが空になっては参加者も激減するでしょうし,開催しても意味がなくなってしまいます。

  NVIDIAは3月23日から26日にかけてカリフォルニア州のSan JoseでGPU Technology Conferenceを開く予定です。しかし,MWCからの1か月間で状況が大きく好転するとは考えられませんが,どうするのでしょうね。

2.Armが2種のエンドポイントMLコアを発表

  2020年2月10日のEE TimesがarmのCortex-M55とEthos-U55コアの発表を報じています。Cotex-M55はarmのHelium Vectorエンジンを搭載し,これまでのCortex-Mと比較してDSP性能が5倍,ML性能が15倍になっているとのことです。

  Ethos-U55はarmのEthos Neural Processing Unitの小型版とのことです。U55は16nmあるいは7nmプロセスを使うと1GHzクロックで動き,最大,0.5TOPSの性能となるとのことです。

  これらのM55とU55は独立して使うこともできますが,両方をあわせて使うことを考えた設計になっています。組み合わせて使うことにより,ジェスチャー認識,バイオメトリック,音声認識などが行なえるとのことです。音声認識を使うアプリの場合,Cortex M7単独で使う場合に比べ,速度は50倍になり,電力効率は25倍になるとのことです。

  これらのコアを使った製品は2021年の早い時期に市場に出てくるとのことです。

3.スタートアップのEta ComputeがマイクロワットのエンドポイントAIチップを発表

  2020年2月12日のEE Timesが,Eta Compute社のマイクロワット級の超低電力エンドポイントAIチップの発表を報じています。ECM3532という名称のこのチップは,armのCortex-M3コアとNXPのCoolFlux DSPとGPIOやUARTなどを集積しそれにメモリが付いています。

  その点では,特別なことは無いのですが,電源電圧とクロックを連続的に変化させて,最低限の電圧とクロックで動かして,低電力を実現しています。同社は,これをContinuous Voltage and Frequency Scalingと呼んでいます。

  そしてEta社はクロックの可変にPLLを使わず,チップ内部のセルフタイム回路で作っており,PLLと比べて周波数の変化が速く,無駄な電力を使わない。更に,ニューラルnっとワークを最適化しており,他社と比べて1桁消費電力が小さいとのことです。

  特別な技術を使っていないのですが,それぞれの技術を突き詰めていくと,全体では素晴らしいものができるという例でしょうか。

4.B737 Maxのソフトはアップデートが簡単に出来過ぎる

  2020年2月13日のEE Timesが,ボーイングの737MaxのMCASのソフトは,コックピットから,簡単に書き換えることができるようになっており,ハードウェアを変更するのと比べて圧倒的に容易で,十分に検査されていないと専門家が指摘していると報じています。

  航空機のハードウェアを変更する場合は,厳しいチェックがあり,認可を受けるのには長い時間が掛るのですが,ソフトウェアのアップデートの場合は,チェックは厳しくなく,容易にアップデートが行なえるようになっているとのことです。

  MCASが入っているのはRockwell Collins製のEDFCS-730というオートパイロット装置ですが,批判する専門家は,この装置のソフトを作ったエンジニアの常識では十分にテストしたという意識であったと思うが,航空機のハードウェア変更を認可するプロセスと比べるとチェックが甘いと指摘しています。

  容易に書き換えられるソフトのエンジニアとハードを交換しなければならないハードのエンジニアで,バグに対するシビアさが違い,特に大勢の乗客の命に係わるシビアさが本当には理解されていないのではないでしょうか。

5.世界の上位5社のファブが53%ウエファを製造している

  2020年2月14日のEE TimesがIC Insightの調査をひいて,トップ5社の半導体ファブが,53%のウエファを製造していると報じています。

  最大のウエファを製造しているのはSamsungで,200mmウエファに換算して2.9Mウエファを製造sています。次は2.5MウエファのTSMC,3位は1.8MウエファのMicron,4位は1.74MウエファのSK Hynix,5位がKioxia/WD(旧東芝)となっています。

  この5社で53%というのを多いと見るのか少ないと見るのかですが,私は,小さいウエファファブが結構,多数のウェファを製造しているなと思いました。もっとも残りの47%の内ではGlbal FoundriesやIntel,そして中国のメモリ会社などが大きなパーセンテージを閉めていて,本当に小さいファブのシェアはマイナーなんでしょうが。


6.トランプ大統領のFY2021予算教書では科学予算を大幅削減

  2020年2月11日のHPC Wireがトランプ大統領のFY2021の科学系の予算案について報じています。米国では予算の決定権は議会にあり,最終的にはかなり変わってしまうものですが,それでもトランプ大統領が色々の政策の優先順位をどう考えているかを推し量るものではあります。

  FY2021の科学系の予算提案は総額$4.8T(約528兆円)で,国防関係以外の予算は前年度から,5%の削減です。削減幅が大きいのはDARPAのエネルギー関係で,173%の削減で部局を削減し,さらに$311Mを返金するというものです。その他にNOAAが31%,EPAが37%,USGSが30%削減となっています。

  しかし,AIと量子コンピューティングは増額されています。



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