最近の話題 2020年3月28日


1. 深圳市の電気屋街 华强北は活動を再開 

  2020年3月20日のEE Timesが,深圳市の電気屋街 华强北(Huaqiangbei)の現状を報じています。ビル内のオフィスの使用は許可されず,在庫の商品の保管だけに使用されています。販売を行う店は屋外に建てられた風通しの良いテントの店で,注文を出すと,注文したものを纏めて箱に入れて渡してくれるというシステムで,対面でのやり取りは殆どないというシステムです。また,マーケットに入るには体温測定をして発熱していないかの検査があるとのことです。

  EE Timesの記事には多くの写真が載っています。東京では感染爆発の危険を防ぐため,一都三県の移動の自粛が求められて沈んでいる状態ですが,华强北(Huaqiangbei)には,まだ少ないですが,人が戻ってきて働いているのを見ると心が温まります。

  強力な封鎖で流行を収束させなければ,このような日は戻ってこないのでしょうか?

2.米国がCOVID-19 Consortiumを結成し330PFlopsの計算能力を提供

  2020年3月23日のThe Registerが,米国の国立研究所,大学等の計算センター,Amazon,Microsoft,Googleなどの巨大クラウドサービスプロバイダがCOVID-19コンソーシアムを結成し,COVID-19ウイルスと戦う研究者に無償でコンピュータを使わせると報じています。コンソーシアムの提供する総計算能力は330PFlopsとのことで,これはSummitスパコンが2~3台分という膨大なものです。

  また,folding@homeやrosetta@homeなどの個人のPCの計算能力を集めたネットワークも,COVID-19との闘いに参戦するとのことです。

  どのような研究を行うのか,Proposalを書いてXsedeのWebサイトから提出し,採択されれば計算機時間が貰えることになります。また,研究の状況をブログを作って報告することが要件となっています。

  このような誤記の中に,既に,認可済みの約8000種類の薬品の中からCOVID-19に効く薬品を探すプロジェクトが始まっているとのことです。類似のコロナウイルスに効くアビガンなどの薬の投与は行われており,効果が確かめられつつありますが,こちらはより広い薬を対象に効果がありそうなものを見つけようという努力です。すでに認可されている薬品なので,毒性や副作用は分かっており,COVID-19に効くことがシミュレーションで見つかれば,短期間で使えるようになると見られます。

3.プリファードネットワークスはハード開発に軸足を移すのか?

  2020年3月23日の日経新聞が,日本のユニコーンのトップのプリファードネットワークスが事業の軸足をソフトウェアからハードウェアに移すと報じました。

  同社のAIのプラットフォームであるChainerは急速に技術が進歩したため開発を終了し,半導体チップの開発に力を入れるとのことです。

  この報道には驚き,同社のTwitterを見てみると,「どちらかに軸足を置くのではなく、PFNは今後もソフトウェア開発とハードウェア開発の両輪で競争力を高めていきます。」とのことでした。LSI開発に力を入れるのはその通りですが,ソフトから軸足を移すというわけではなさそうです。

4.Rigettiが量子コンピューティングの実用性を実証するプロジェクトでDARPAの契約を獲得

  2020年3月26日のHPC Wireが,組み合わせ最適化問題を高速で解くという分野で,DARPAの量子コンピューティングの実用性を示すというプロジェクトの契約をRigettiが獲得したと報じています。Rigettiは量子チップのファブを持っている会社で,100 Qubit以上の量子チップを作る計画とのことです。

  契約の金額は$8.6Mとのことです。

5.富士通研究所とカナダのQuantum Benchmark社が量子コンピューティングアルゴリズムの共同研究

  2020年3月25日のHPC Wireが,富士通研究所とカナダのQuantum Benchmark社が量子アルゴリズムの共同研究を行うと報じています。Quantum BenchmarkはカナダのWaterloo大学の研究者が作った会社で,量子コンピュータのエラーを避けるアルゴリズムの開発などに独自の技術を持っているとのことです。

  現在の量子論理素子はノイズが大きく,エラーを起こしやすく計算できる時間が短かく,実用的な計算ができません。これがエラーの発生が抑えられれば,より長時間,エラーを起こさないで計算ができ,現在では実行できない複雑な計算ができるようになります。

  一方,富士通研究所はディジタルアニーラの開発で蓄積したファイナンス,薬品開発,材料科学などの分野での最適化技術を用いた実用的な量子アルゴリズムを研究するとのことです。

  共同研究の期間は当面,今年の4月から2021年の3月までの1年間ですが,延長を考えているとのことです。そして,両社は2023年には100 Qubitを超える量子コンピュータでの新しいアプリケーションをデモするのが目標だそうです。

  

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