最近の話題 2020年4月11日
 
1. 押谷先生,西浦先生とそのチームは日本防衛軍

  東北大の押谷教授や北大の西浦教授とそのチームのクラスタ対策班は新型コロナウイルスの感染から日本を守る防衛軍です。本当に感謝申し上げます。COVID-19の再生産率は平均的にみると1.0以下ですが,三密の状態では再生産率が18にも上がり,一人から18人に感染させるとのことです。

  これは三密のクラスタを発生させず,再生産率を1.0未満に抑えれば,コロナを抑えられるということです。

  皆さん,頑張りましょう。

  特に,夜の街クラスタが再生産率が高いようですから,おじさま方には自粛をお願い致します。   

2. HoneywellがQuantum Volume 64の量子コンピュータを発表 

  2020年4月7日のHPC Wireが,Honeywellのイオントラップ型でQuantum Volume 64の量子コンピュータの発表を報じています。

  量子コンピュータではQbitの数で能力が評価されることが多いのですが,量子ビット数が多くても,コヒーレンスを保てる時間が短いと長い時間かかる計算を終えられません。また,エラーが多いと,多数回計算をやり直してみないと,どの計算結果が正しいのかわかりません。

  IBMはqbit数だけではなく,これらの要素を組み合わせて量子コンピュータの全体的な有用性をQuantum Volumeという値で定義することを提案しています。

  超電導を使うIBMの量子コンピュータのQVは,現在,最高のもので32ですが,Honeywellのシステムはqbit数は6qbitですが,QVは64とIBMのものの2倍を達成しています。そしてIBMは年率2倍でQVを改善する計画ですが,Honeywellは年率10倍でQVを引き上げると言っています。

  イオントラップ型はYbなどのイオンで量子ビットを作るので,どの量子ビットも同じにできます。しかし,超電導ループの場合は製造ばらつきや不純物で特性が影響され,QVが上がりません。Honeywellのシステムも超高真空,超低温,磁気システム,振動の抑制,レーザや光の高精度システムなどを必要としますが,これらはHoneywellが得意とするところで,10年かけて開発してきたとのことです。イオンqbitを安定に保ったり,制御したりする技術は出来ているので,qbit数を増やすのは比較的容易とのことです。

4. ETCが800Gbit Ethernetの仕様を発表 

  2020年4月7日のHPC Wireが,Ethernet Technology Consortiumの800Gbit Ethernet規格(800GBASE-R)の発表を報じています。

  800GBASE-RではPhysical Coding Sublayerとエラー制御を行うFECは400Gbitのものを2組使って,新規開発の量を減らしています。

5. 6月のISC 2020も無料の仮想開催に 

  2020年4月8日のHPC Wireが,6月の22日から6月24日に掛けて,ドイツのフランクフルトで開催予定だったISC 2020はCOVID-19の感染抑止のため,人の集まる例年のカンファレンスは止めて,無料の仮想開催になると報じています。

  これは,昨今の状況から予想されたことですが,スパコンをHPL性能でランキングするTop500はどうなるのでしょうか?Top500はISCを創立した故Hans Meuer教授がはじめたもので,ISCの目玉ですが,ISC 2020が仮想開催では例年の発表セレモニーは出来ません。しかし,Top500の性能データは世界中のスパコンセンターが測定し,委員会に提出してランキングを行うので,Top500リストの作成は問題なく行われ発表されることになっています。

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