最近の話題 2020年4月25日

1. Intelの1Q決算は42%の大幅増益

  2020年4月24日の日経新聞が,Intelの1-3月期の決算の利益は$5.661Bで,これは前年同期比42%の増益と発表したと報じています。

  コロナの感染拡大でTV会議や動画配信などの使用が増え,データセンター向けの半導体の需要が増えた。また,テレワークで家庭で使うパソコンの需要が急増した。その結果,売り上げは$19.828Bと前年同期比で23%増加した。

  大幅な増収,増益ですが,この傾向は続かないという見方から,Intelの株価は若干下落しました。

2. オーストラリアの科学者が1.5Kの高温で動作するQubitを発表

  2020年4月16日のThe Registerが,オーストラリアのNew South Wales大の科学者が1.5Kで動作する高温Qubitを作ったと報じています。Natureに掲載されたとのことで,信ぴょう性の高い結果です。

  シリコンのQubitで,同位元素的にエンリッチされた材料を使っていると書かれています。中性子の数が違う同位元素的に不純物を減らしたことで,より安定なQubitが作れたというのは,有りそうです。

  先週のIntelとQutechの1.2KのQubitに続く発表ですが,Natureの査読を経ているので,本当の成功はIntelより早かったのかも知れません。

3. AIチップ開発のWave ComputingがChapter11 目前か

  2020年4月20日のEE Timesが,Wave Computingが,今週か来週にはChapter 11を申請すると報じています。一時は勢いが良く,MIPS Technologiesを買収したWave Computingですが,昨年8月ころから学会や展示会にも出てこず,調子が悪そうでした。

  MIPSはWave Computingに買収されたのですが,MIPSは社内の会社のように扱われており,MIPSのIPはMIPSに残っているとのことです。そして,IntelのMobileyeがMIPSを使っているように,車のADAS市場ではMIPSコアのシェアは80%とWaveは言っています。最も最近では,台湾のMediatekがコネクテッド製品向けにMIPSのライセンスの取得を行うなどの動きがあり,WaveがChapter 11になってもMIPSは生き残ると見られています。

4. 中国のメモリに対する野望が世界的に競争力のあるNANDを生み出した

  2020年4月15日のマイナビニュースが,中国の長江存儲科技(YMTC)の128層TLCのNANDの開発成功を報じています。そして,4月23日のEE Timesが中国のMade in China 2025イニシアティブが成果を挙げつつあると書いています。

  中国製というと,欧米や日本のテクノロジを導入して作ったというものが多かったのですが,EE Timesは,YMTCの3D NANDは独自の技術と書いています。64層のXtacking TLC NANDチップをTechInsightがリヴァースエンジニアリングで調べたチップの断面写真が載っていますが,NANDの部分と周辺回路は別ウエファで作り,それらの表面をボンドしてNANDチップを作っています。

  作る手間は増えそうですが,利点はビット密度で,Samsungの256Gbit素子は3.42Gbit/mmであるのに対してYMTCの256Gbitチップは4.41Gbit/mmとEE Timesの記事に書かれています。単位が/mm2でないのは単なる書き忘れでしょうか?

  また,マイナビの記事では,Xtacking2.0で別ウエファにしたことにより,CMOS部分をNANDより微細なプロセスで作れるようになりチップサイズが小さくなったと書かれていますが,TechInsightのSEM写真を見ると逆のような感じがします。

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