最近の話題 2020年5月2日
1.新型コロナはマシンラーニングも狂わせる
2020年4月30日のAndrew Ng先生のThe Batchが,新型コロナはマシンラーニングのシステムも狂わせると警告して居られます。
正確には,コロナウイルスが直接,コンピュータの動作に影響を与えるわけではないのですが,例えば,クレディットカードの盗用を監視するシステムは,カードの使用パターンを学習し,通常とは異なるパターン(異なる店での購入や購入金額が高いなど)でカードが使用されていると盗用を疑って警告を出します。
しかし,コロナ感染の広がりから,人々の購買パターンがかなり変わってきています。また,投資の判断をAIにやらせるロボット投資信託などもありますが,企業の業績や投資判断はコロナ以前に学習したとはかなり,異なっています。どのように動けば,お客を拾えるかをタクシードライバに教えるAIもありましたが,これも4か月前のデータで学習したものは使い物になりません。その後のデータも過渡的なもので,学習に使えるとは思えません。
COVID-19ウイルスと結合しやすい薬品候補を見つけるというようなAIは影響を受けないと思いますが,人間の行動パターンに依存するAIは程度の差こそあれ,全滅ではないでしょうか?
2. NVIDIAのMellanoxの買収が完了
2020年4月27日のNextPlatformが,NVIDIAのMellanox買収の完了を報じています。両社は昨年3月に,$6.9Bでの買収に合意していたのですが,中国の当局の承認が得られず,正式な買収完了には至っていなかったのですが,このほど,中国当局のOKが得られて買収を完了したというわけです。
NVIDIAとMellanoxは,MellanoxのInfiniBandをまたいでGPU間でRDMAを可能にするGPU Directを開発するなど,仲は良かったのですが,この合併でより密接になり,より効率的なスマートNICなどが出てくることが期待されます。
3. Wave ComputingがChapter 11を申請
2020年4月30日のEE Timesが,先週の話題であぶないと書いたWave Computingが,San Joseの米国破産裁判所にChapter 11の申請を行ったと報じています。
申請が受理されると,裁判所の管理下でリストラを行ったりして,企業の再生をはかることになります。
2020年4月29日のEE Timesが,集めた投資が$5M以下のスタートアップに対して,armも大部分のIPの初期ライセンス費用を無料とするFlexible Access for Startupsというプログラムを開始すると報じています。
armは昨年6月に,年間1件のテープアウトの場合,$75,000のライセンス料というFlwxible Accessを始めたのですが,これを格納して,$5M以下の資金しかないスタートアップであれば,$75,000のライセンス料も無料にするというプログラムを始めた訳です。
SiFiveがRISC-Vで利益を上げるまで,IPのライセンス料無料などという条件で資金が豊富でないスタートアップを集めており,それに対抗するものといえます。
armは他社に比べて保有するIPの数が多く,かつ,多く使われてバグだしなども進んで高品質のIPが初期ライセンス料無料で使えるのは魅力的です。
5. AMDの2020年1Qの売り上げは前年同期比40%アップ
2020年4月29日のHPC Wireが,2020年1QのAMDの売り上げは,$1.79Bとなり,これは前年同期比で40%アップという驚異的な成績とのことです。コンピューティングとグラフィックス分野が73%伸びており,組み込みやセミカスタムの分野の21%ダウンを補っても大きな売り上げ増となっています。
MicrosoftのAzure,Google,IBMなどのクラウドが第二世代Epycを使うセンターを発表しているようにAMDのに,Epycの売り上げは伸びています。また,1Qの売り上げにどれだけ貢献しているのか分かりませんが,米国の3つのExascaleスパコンの内のFrontierとEl Capitanの2システムが,Epyc CPUとRadion GPUを使うということで意気が上がっています。
しかし,2Qの売り上げ見通しは$1.85Bとわずかに1Qより減るという見通しで,AMDの株価は時間外には4%安くなりました。これは先日のIntelの発表と同じです。