最近の話題 2020年7月11日


1.コロナと自動運転車(AV)の安全性がAV業界のオーバホールを推し進める

  2020年7月8日のEE Timesが,コロナウイルスの流行と,安全を確保する自動運転ソフトウェアの難しさが,AV関係の会社の合従連衡のオーバーホールを推し進めていると書いています。

  この記事に載っている表には,waymo Driver,Nvidia,Zoox(Amazon),TuSimple,Uber,Cruise,Argo,Aurora Driver,Aptive,Mobileye & Intel,Nuroと11のAV プラットフォームを挙げ,どのような市場を狙っているのか,パートナーや顧客は誰かなどがまとまっています。しかし,TeslaやToyotaなどはリストアップされておらず,他社との連携が薄いグループは含まれていないようです。

  この記事のポイントは,記者の見解では,コロナの流行とAVの安全性の確保の難しさが,連携の形を急速に変えているということで,最近行われた新しい動きを赤字で書いています。赤字で書いてあるのは,WaymoのグループにVolvoが加わったこと,Mercedes BenzがNVidiaの顧客になったこと,AmazonがZooxを買収したこと,UberがPostmatesを買収したことです。

2.armがIoT部門を切り離しか?

  2020年7月8日のEE Timesが,armが2018年に買収して傘下に収めたIoTサービス部門をソフトバンクグループに移管することを考えていると報じています。PelionというIoTプラットフォームビジネスとTreasure Dataを買収したのですが,それを見直してこれらのIoT関係のビジネスはソフトバンクに移管し,armは半導体IPビジネスに専念したほうが利益を増やせる。また,armは,ソフトバンクは新しいビジネスの立ち上げに優れているので,移管したほうが良いと説明しています。

  Nitin Dahad記者の見方は,ソフトバンクは2024年にはarmの上場をねらっており,株価を高めるためには,お金も時間もかかるIoTのフルスタックを作るよりも,先ずは切り離して,armだけの価値を高めて株価を上げようという作戦とみています。

3.MEMSスピーカ

  2020年7月7日のEE Timesが,xMEMSというスタートアップのMEMSのスピーカの記事を載せています。MEMSのマイクロフォンは標準になりつつありますが,スピーカは初めてと思われます。スピーカの場合は音を出すために空気を動かす必要があり,ある程度のサイズの振動板を必要とし,素子のサイズが大きく値段が高くなると思われます。

  xMEMSの製品は1セント硬貨と写っている写真が掲載されていますが,おおよそ,10mm×8mm程度の大きさで,この中に6個のMEMS振動板が入っています。ということは個々の素子は3mm×2mm程度でしょう。

  MEMSスピーカの良いところは音域が広く,可聴域の特性はフラットで,忠実性の高いスピーカが作れます。また,遅延時間も小さいので,ノイズキャンセリングにも向いています。そして,ハーメティックシールされたパッケージに入っており,防水のスピーカが作れます。

  ということで,当初は高性能のスピーカの製品化を狙っていますが,4素子の低価格版も計画しており中価格帯のスピーカ市場への進出も考えています。スマホやスマートスピーカ,TVなど,スピーカを使う機器には大きな市場があります。xMEMSがどこまで伸びていけるか注視したいところです。

4.Amazonが16GPUのA100サーバをAWSで提供開始

  2020年7月7日のHPC Wireが,AmazonのAWSが16台のAmpere GPUサーバをリリースしたと報じています。NVIDIAのHGX A100サーバは8GPUですが,これを2台接続した16GPUのサーバを作ったものです。もともと,DGX-2(HGX-2と同じ)は16GPUであったのですが,A100の性能がV100の2倍以上あるので,DGX A100では値段を抑えるために8GPUとしました。このNVLinkの接続をDGX-2と同じに戻せば16GPUのA100サーバを作ることができます。

  このサーバは1,2,4,8,16GPUのインスタンスがあり,vCPUの数は12,24,48,96,96となっています。なお,NVIDIAのDGX A100ではAMDのRome CPUを使っていますが,AWSはCascade Lake Xeonを使っているので最大のVCPU数が96で抑えられています。

  これらのA2ファミリと呼ばれるシステムのお値段は,後程,発表するとのことです。

  Ampereの発表から,わずか2カ月でクラウドでのインスタンスの発表は,これまでの最短記録です。


5.ドイツのMax Plank研究所がLenovoの液冷スパコンを導入

  2020年7月9日のHPC Wireが,ドイツのMax Plank研究所がLenovoの液冷スパコンを導入すると報じています。このスパコンはNVIDIA A100GPUを使い,LenovoのNeptune水冷システムで冷却を行っています。

  稼働は2021年の早い時期を目指しています。このシステムが稼働すればMax PlankのHPC向けの総計算能力は12PFlopsに上がるとのことです。

  このシステムの導入予算は,運用やサポートサービスを含んで€20Mとのことです。


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