最近の話題 2020年9月5日

1.NVIDIAがAmpereアーキテクチャのRTX 30シリーズ GPUを発売

  2020年9月2日のThe Registerが,NVIDIAのAmpereアーキテクチャのRTX 30シリーズGPUボードの発売を報じています。製品としては$499のRTX 3070,$699のRTX 3080,$1499のRTX 3090の3種です。

  GPUはSamsungの8nmプロセスで製造され,28Bトランジスタを集積しているとのことです。

  3070は8GBのGDDR6メモリを搭載し,1440pの4K解像度でゲームを実行できます。前世代のRTX 2070 Tiと比較して60%速いとのことです。3080は10GBのGDDR6Xを搭載し,メモリ転送速度は19Gbpsとなっています。4K解像度で60fpsの表示が可能です。3080は前世代の2080と比べると2倍速いとのことです。そして,3090は最高性能のゲーミングGPUで24GBのGDDR6メモリを搭載しています。TuringアーキテクチャのTitan RTXと比べて50%高性能とのことです。

  Ampereの新しいシェーダは30TFlopのシェーダ性能を持ち2.7倍の性能,新しいRTコアは58RT-TFlopsの性能を持ち,1.7倍の性能,新しいTensorコアは238Tensor-TFlopsで2.7倍の性能とのことです。

  Ray Traceの場合,トレースしたレイが当たらない部分はAIでそれらしい絵を作るDeep Learning Super Sampling(DLSS)はうまい考えで,TuringやAmpereではTnsor CoreをDLSSに上手く利用しています。

2.Intelが11世代のCoreプロセサTiger Lakeを発表

  2020年9月4日のマイナビニュースが,IntelのTiger Lakeの発表を報じています。Intelは社名のロゴやCoreプロセサのロゴも一新して新味を出そうとしていますが,それは別として,半導体プロセスでも後れを取っているIntelとしては起死回生の新製品です。

  プロセスはIntelの10nmですが,SuperFinやSuperMIMキャパシタの4倍の容量増など細かいところの改良を積み重ね,他社の7nmにひけを取らない程度のプロセス性能と言う感じです。

  特徴としては,Sunny Coveを改良したWillow Coveマイクロアーキテクチャの採用で,L2キャッシュを1.25MBに強化しています。また,SuperFinで動作クロックの向上y動作電圧範囲を拡張しています。

  そして,内蔵GPUがIRIS Xe Graphicsに一新されました。Xeはスパコン用のPonte Vecchio GPにも使われるアーキテクチャですが,Tiger Lakeに搭載されるのは低電力のLPマイクロアーキもものです。しかし,GPUのEUの数は,従来64個ですが,Tiger Lakeでは96個と5割増しになっています。

  さらに,Tiger Lakeでは,GPUと別に,Gaussian &Neural Accelerator 2.0を搭載してマシンラーニングの性能を引き上げています。Xe GPUは従来の内蔵GPUの4倍の性能とのことです。

  IntelはAMDのR7 4800Uとの性能比較のグラフを発表しており,11世代のCore i7-1185G7の方が,SYSmark 25では28%,3DMark File strikeでは67%,MLPerfでは4倍性能が高いと発表しています。

3.MarvellがThunderX3プロセサをカスタムプラットフォームに変更3.MarvellがThunderX3をカスタムチップのプラットフォームに変更

  2020年9月3日のHPC Wireが,MarvellがThunderX3プロセサをカスタムプラットフォームに変更と報じています。

  まあ,IntelやAMDのCPUなら標準のソケットやマザーボードがあり,CPUを買ってきて自社でサーバをつに仕立てることができますが,MarvellがThunderX3 CPUを一般に販売しても買うところは無いと思われます。それならば,ハイパースケーラのようなユーザを捕まえて,そこに特化した機能などを付けて付加価値を増やして売るという手を取らざるを得ないというのは理解できます。

  AMDは,一般のCPUとしての販売以外にゲーム機に特化したカスタムCPUを開発して売るというビジネスを良くやっています。これの一般販売を無くしたビジネス形態とも言えます。

  この形態で,何社かの大規模なハイパースケーラを捕まえて,ビジネスとしてやっていけるのかどうかは分かりませんが,汎用CPUとしてThunderX3を売るというビジネスは難しいのでしょう。

4.PFNのMN-3スパコンのシステム部分はSupermicroが協力

  2020年9月2日のHPC Wireが,Green500で1位を獲得したPreferred NetworksのMN-3スパコンのシステム部分の開発にはSupermicroが協力していたと報じています。

  MN-3の計算エンジンであるMN-Coreチップは,神戸大学の牧野先生が協力してPFNが開発したものですが,MN-Core 4個とXeon 2個を5Uのキャビネットに入る筐体に詰め込んだのはSupermicroが協力したのだそうです。

  なお,MN-Coreチップの論理設計は,牧野先生とPFNのエンジニアの仕事のようですが,物理設計を担当してシリコンチップに詰め込んだのはAlchipで,今回,5U筐体に詰め込んだのはSupermicroということが明らかになりました。

5.FAAがAmazonにドローン配送を許可

  2020年9月1日のThe Registerが,FAAがAmazonにドローン配送の許可を与えたと報じています。ただし,UPSとGoogleのProjet Wingは昨年に許可を得ており,Amazonは3社目だそうです。

  ドローンは5ポンド(約2.2㎏)までの荷物を運べ,当初はAmazonの本拠のシアトル近郊で試験運用すると見られます。ドローンに指令を与える電波帯としては5GHz帯が適しているとのことで,5030-5091MHzが割り当てて欲しいというようぼうが出ているとのことです。

  Googleはアースとラリアのキャンベラの郊外のBonythonという町で試験運用を行ったのですが,30分で荷物が届くという利便性は歓迎されたのですが,早朝から夕方までドローンが飛び回る騒音に悩まされた住民の反対で,追い出されてしまったそうです。

  ドローンのプロペラの甲高い風切り音は二重ガラスにしてもうるさく,屋外にいる犬や野生動物が狂ったように鳴き,生活環境が破壊されたとのことです。

  ノイズをキャンセリングするようなテクノロジを確立しないと実用化は難しいかも知れませんね。


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