最近の話題 2021年1月30日

1.スタートアップのEdgeQがRISC-Vベースの5GとAI処理チップを開発中

  2021年1月27日のEE TimesがEdgeQというスタートアップのRISC-Vベースの5GとAI処理用のチップの開発を報じています。AI処理はベクトルの内積計算で,5Gでは複素数のFFT計算が必要で,これも行列の積和計算がメインです。

  EdgeQは行列の積和計算が効率よく実行できるRISC-Vベースのチップを作れば,AIと5Gができるという考えです。RISC-Vに専用命令を追加して,AIと5Gの処理が効率よく実行できれば,5Gの通信パターンをモニタリングして,AIで悪意ある攻撃を発見することができるし,その他のロボットや車両,ドローンの制御にAIを使う事ができるとのことです。

  私は5Gを知らないので,EdgeQの考えがどのくらい良い考えなのか分からないのですが,EdgeQのAdvisary BoardにはQualcommのCEOを務めたPaul Jacobs氏,QualcommのCTOを務めたMatt Grob氏等が入っており,スタンフォード大のChristos Kozyrakis教授も加わっています。

  EdgeQはこれまでに$51Mを集め,その内の$38.5Mは最近行ったシリーズAファンディングで得たものだそうです。本社はSanta Claraで,San DiegoとインドのBangaloreにオフィスがあり,100人以上が働いているとのことです。

  開発中のこのチップは今年の遅い時期にサンプル提供の予定です。

2.RV64X:RISC-V用のオープンソースGPU

  2021年1月27日のEE TimesがRV64Xという無料でオープンソースのGPUについて報じています。”A group of enthusiasts"がやっている活動とのことですから,どこまで当てにしてして良いかは分かりません。

  RISC-Vのベクトル命令をャをベースにグラフィックやメディアア処理の命令を追加していくとのことです。サポートするデータタイプが増え,サポートする命令も増えるので,現行の32bit命令では足りませんから,命令は64bitにするそうです。

  EE Timesの記事には,もっと詳しいことが書いてありますので,興味のある方はそちらを見て下さい。

3.Microsoftが量子コンピュータの制御チップを開発

  2021年1月28日のHPC WireがGooseberryと名付けた量子コンピュータの制御チップの開発を報じています。量子コンピュータを作る場合,それぞれのqubitに配線を作る必要があり,これでは多数の配線が必要で多数のqubitを使うシステムは作れません。

  Microsoftは,オーストラリアのSidney大学と共同で極低温で動作する制御チップを作ったと報じています。この成果は今月のNature Electronicsに発表されました。

  このシステムは100mK程度の低温で動作するCMOSチップで制御回路を作り,そのチップにQubitと接続するマルチプレクサを作り,マルチプレクサで操作するQubitを選択することで,常温領域からの接続線は少ない本数で多数のQubitを操作できるようになっています。

 こう書くと簡単ですが,CMOSチップの発熱がQubitを温めてしまわない実装など色々と注意が必要なようです。

4.NVIDIAのTPCx-BBベンチマークの結果は誤魔化しとTOCが非難

  2021年1月28日のThe RegisterがTransaction Processing Councilが,NVIDIAのTPCx-BBベンチマークの結果は,ベンチマークのルールに沿っておらず,NVIDIAの製品の性能を不当に高く見せていると非難していると報じています。

  ビッグデータを処理するTPCx-BBベンチマークの,これまでの最高記録は4.7時間ですが,NVIDIAはA100 GPUを128個使用するシステムで,14.5分で処理できたという結果をNVIDIAのブログに発表しました。

  ただし,NVIDIAはTPCのメンバーになっておらず,どのようにベンチマークを実行したのか,その詳細を公表していません。そして,TPCは会員がベンチマークの結果を提出して,TPCが認定したものでなければTPCx-BBとは書けず,non-TPCと表示しなければならないというルールにも違反していると指摘しています。

  しかし,NVIDIAはTPCの会員ではないので,話は進まず,TPCは状況を公表することにしたとのことです。




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