最近の話題 2021年2月13日


1.カリフォルニア州の自動車局が自動運転車のテスト結果を発表

  2021年2月12日のEE Timesが,カリフォルニア州の自動車局(Department of Motor Vehicle)の自動運転車の公道走行テスト結果の発表を報じています。走行距離が多いのは,Cruiseの770,049マイル,Waymoの628,839マイル,Pony.aiの225,496マイル,Zooxの102,521マイルと言ったところです。

  テスト車は自動運転が出来なくなると,同乗する安全ドライバに交代を要請します。また,自動運転を行うのは危険と判断した場合は,自分で運転を替わりますが,このようなケースをDisengagementと呼んでいます。Wyamoは平均してこのような交代が29,945マイルの走行で1回,Cruiseは28,520マイルに1回,AutoXは20,367マイルに1回と言ったところです。Waymoは前年に比べて交代発生の平均距離を126.5%,Cruiseは133.4%伸ばしています。つまり,交代発生の平均距離は前年に比べて2.3倍位に伸びています。

2.半導体不足に対して,TSMCが社債で$9Bを調達して製造能力を拡張

  2021年2月11日のEE Timesが,TSMCが社債で$9Bを調達し,半導体不足を緩和するため,製造能力を強化すると報じています。

  半導体不足で,自動車メーカーが操業を短縮する事態になっており,半導体の増産を要求するという事態になっているのはご存知の通りですが,TSMCはそれにこたえるため,約$9B(1兆円弱)を社債で調達し,増産(と,一部,公害防止)のための製造投資をおこなうとのことです。

  また,TSMCは186億円を投資して,日本に3D実装の材料の開発を行う子会社を設立するとのことです。

  そして,しばらく前に発表されたようにトランプ政権の求めに応じて,TSMCはアリゾナに1100エーカーの土地を買い,台湾のメガファブ級の向上を建設することを発表しています。


3.イスラエルのAIスタートアップが$8Mのシードマネーを調達

  2021年2月10日のEE Timesが,イスラエルのNeuRealityというデータセンター向けの推論AIチップを開発するスタートアップが$8Mのスタートアップマネーの調達に成功したと報じています。

  NeuRealityが何をやっているのかについての情報は殆ど無いのですが,NeuRealityはチップレベル,システムレベル,ソフトウェアレベルにわたってイノベーションを起こすと言っています。

  NeuRealityは,Nervanaを率いていたNaveen Rao氏をボードメンバーに迎えたと発表しましたが,Roa氏は,多くのAIスタートアップを見てきたが,NeuRealityのアプローチは新しい見方を与える。今日のデータセンターアーキテクチャを塗り替えてしまうユニークなアプローチと激賞しています。

  NeuRealityのCEOのMoshe Tanach氏はMarvelやIntelで働いた経験があり,Operations VPのShmueli氏はMellanoxで働く前はHabanaのVP Engineeringという経歴です。VP. LSIのKaus氏はMellanox,EZChipという経歴です。

4.HPEが第二世代の宇宙コンピュータをISSに送り込む 

  2021年2月11日のThe Regisiterが,HPEの第二世代の宇宙コンピュータの国債宇宙ステーション(ISS)への送り込みを報じています。宇宙機器には放射線に強い設計の素子を使うのが普通ですが,宇宙線が当たってもご動作しない素子は性能が低いうえに価格は高いという問題があります。

  HPEは,2017年に普通のApollo 40クラスのサーバを2017年にISSに搭載して,約1年間,宇宙環境での動作試験を行いました。これが第一世代の宇宙コンピュータです。

  第二世代宇宙コンピュータは,第一世代に比べて2倍の物量で,2倍の電力を使います。2つのロッカーには それぞれHPE ProLiant DL360 Gen10 server と Edgeline EL4000 Converged Edgeシステムが収容されています。この2重化で冗長性を提供しています。

  それから,第一世代は120VACのサーバで,ISSのDC電源からインバータで120VACを作り出していたのですが,第二世代はISSの28VDCを直接使う設計になっています。

  そして,CPUは第2世代ではCascade Lakeになり,性能が2倍にアップしています。SSDは第一世代では問題が発生したのですが,第二世代ではソフトウェアRAIDとするので,エラー耐性が改善されると考えています。

  この第二世代宇宙コンピュータはCygnus宇宙船に搭載され,2月8日に打ち上げられました。


5.スタートアップのQ-CTRLが量子コンピュータを自己チューンするツールを発表 

  2021年2月11日のHPC Wireが,q-ctrlというスタートアップのAIを使った量子コンピュータのチューニングツールの発表を報じています。このツールはAIを使って,エラーが少ない回路構成を見付け,結果として,性能を上げることができるとのことです。

  初期のデモで,このツールは,IBMのクラウドサービスで量子ロジックゲートを自動生成し,その回路はIBMのはエンジニアが設計した量子ゲートよりエラーの少ないもので,より強固なアルゴリズムを作ることができたとのことです。

  このツールは同社のBoulder Opalツールキットの機能として,クラウド経由で提供可能となるよう開発を行っているとのことです。

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