最近の話題 2021年5月1日

1．AMDは快走中

　　2021年4月27日のEE Timesが，2021年Q1のAMDの決算を報じています。売り上げは$3.45Bで，これが前年同期の$1.78Bと比べると倍増に近い伸びです。また，前四半期と比べ6%の売り上げ増です。売り上げ増に貢献したのはRyzen CPU，Epyc ProcessorとRadeon GPUとのことです。

　　AMDは2021年の伸びを37%と想定していたのですが，それを50%成長に変更するとのことです。Enterprise, EmbeddedとSemi-Custom セグメントの売り上げは$1.35Bで，これは前年同期と比べると286%の増加です。

　　CPUはMilanがでましたが，現在は，まだRomeの方が多くMilanが多くなるのはQ3になると見ています。

　　2021年Q2の売り上げは$3.6B+/-0.1Bと予測しています。これは前年同期比では86%の増加です。

２．ON SemiがフォーミュラEでメルセデスに協力

　　2021年4月27日のEE Timesが，ON SemiがフォーミュラEでMercedes-EQとのパートナシップに参加すると報じています。フォーミュラEは電気自動車のフォーミュラカーのレースで，ON SmiはSiC（シリコンカーバイト）のインバータを開発するとのことです。

　　SiCはバンドギャップが3.2eVとシリコンの約3倍で，その分，高い電圧まで動作しますし，高温にも耐えられます。そして，On抵抗もSiと比べると300-400分の1と低く，電力のロスを減らせます。

　　しかし，特性はSiCだけで決まるわけではなく，大電流を流すチャネルやゲートの形状や，冷却効率にも依存します。また，高圧，大電流のSiCトランジスタのゲートのドライバの設計も問題です。ということで，ON SemiはSiCトランジスタだけでなく，ドライブトレイン全体の設計で協力するとのことです。

　　2021年4月27日のHPC Wireが，armのNeoverse V1とN2プラットフォームと新しいメッシュインタコネクトCMN-700の発表を報じています。

　　Neoverse V1(開発コードネームZeus）はarmの最高性能のコアで，フェッチが8命令，デコード/リネームが5-8命令，演算器へのイシューが15wideとなっています。演算器はSVEが2個，NEONが4個,Ldが3個，Stが2個，それに4個のALUと分岐ユニットが2個ということで，かなりデラックスです。そして，Neoverse V1プラットフォームはこのコアを複数個集積し，カスタムアクセラレータも集積します。そして，メモリはHBM3とDDR5が付いています。

　　I/OはPCIeーGen5，CXLとCCIX，Multi die/socketと書いてあります。V1はHPCやマシンラーニングではこれまでの最高性能のものと比べて50%性能が高く，ベクトル計算ではN1の1.8倍の性能とのことです。

　　Neoverse N2（開発コードネームPerseus）は最初のarmv9アーキテクチャの製品です。N2はシングルスレッド性能がN1に比べて1.4倍とのことです。また，ハーパースケーラの負荷での性能では1.3倍のスループットとのことです。Neoverse N2はarmv9ですからSVE2命令をサポートしています。富士通のA64FXに搭載されたSVEの機能を包含し，NEONの機能が追加されています。また，ML，DSP，Medi，5Gの処理のアクセラレーションができるとのことです。

　　CMN-700はCoherent Mesh Network-700で，CMN-600の次世代のネットワークです。そして，CMN-600と比べると，ステップファンクションで機能，性能が上がっていると言っています。CMN-700は最大256コアを接続できるとのことです。

　　シングルスレッドの性能はNeoverse N1を1.0とすると，128コアのN2は1.1程度，96コアのV1は1.3程度と言うグラフが掲載されています。

　　armは，今回発表のV1，N2の次は5/3nmプロセスを使うPoseidon世代のプラットフォームを出す計画です。Poseidonのインフラワークロード性能は30%アップと書かれています。

4．3Dプリンタで銃器を作る設計ファイルの流通禁止を破棄

　　2021年4月29日のThe Registerが，国務省が3Dプリンタで銃器を作る設計図を国防関係の情報に指定して，流通を禁じたという措置に対して控訴裁判所が，国務省の指定を取り消すという判決をだしたと報じています。

　　この事実上の流通禁止が無効とされ，3Dプリント銃器の設計図の流通がOKになったというわけです。しかし，バイデン大統領はこれには反対で，何らかの対抗措置を打ち出すものと見られています。

    一般に銃等はシリアル番号が刻印されていて個体を追跡ができるのですが，3Dプリントだとそれができなくなるので，捜査がやりにくくなると心配されています。