最近の話題 2021年6月5日

1.ダークエネルギーを探すDESIが動作を開始

  2021年5月17日にダークエネルギーを研究するDESI(Dark Energy Spectroscopic Instrument)が動作を開始しました。UC BerkleyのSaul Perlmutter教授らが宇宙の膨張が加速していることを示してノーベル賞を受賞しましたが,なにが膨張を加速しているのは分からず,ダークエネルギーと呼ばれています。宇宙のエネルギーの68.3%はダークエネルギーと推定されており,最重要のコンポーネントが理解されていないという状況で,これを理解するのが重要です。

  実際に宇宙がどのように膨張しているのかを精密に調べ,ダークエネルギーをより正確に調べて,理解を深めようというのがDESIの目的です。DESIのセンサに当たるのはアリゾナ州のキットピーク天文台に設置される口径4mのMayall望遠鏡です。DESIは,約5年を掛けて,全天の約1/3の3000万個の銀河のスペクトルを測定し,赤方偏移を求めてty級からの距離を推定します。

  宇宙の2.7°Kの背景輻射はよく知られていますが,それと似たものに,Baryon Acoustic Oscillationというものが有ります。宇宙が電離した状態ではガスが圧力を持ち,バリオンの圧力が音波として伝わりますが,宇宙が晴れ上がると音波は伝わらなくなります。

  銀河の生成はこの音波の伝搬距離に依存する傾向があり,約5億光年です。観測によって赤方偏移の値と,BAOの距離を多数の銀河に対して精度高く測定することにより,より正確な銀河の距離を知ることができるようになり,ダークエネルギーの挙動をしることができるようになります。

  しかし,3000 万個の銀河の観測結果を調べるのは大変で,現在は,LBNLのCoriスパコンを使っていますが,これからは,最近稼働したPerklmutterスパコンを使用する予定です。

2.AMDがCPUチップ上に3Dのキャッシュ搭載するRyzen CPUを発表

  2021年6月1日のTom’s Hardware,AMDの3D積層3次キャッシュを搭載したRyzen CPUチップの発表を報じています。これまでのAMDのチップレット実装は,CPUとキャッシュ,IOダイなどをプリント基板に搭載して配線で接続したものでしたが,今回発表したものは,CPUダイの上に,I/Oダイと7nmプロセスで作られた64MBのL3キャッシュダイを3個搭載したもののようです。

  CPUダイの半分くらいの面積には,搭載する回路が無いので,Structured Siliconと呼ぶ機械的にチップの厚みを合わせるためのチップが付けられているという図がついていますが,写真とは整合がとれていない感じがします。

  L3キャッシュとCPUの間はTSVで接続されており,パッケージ上での2D接続に比べて200倍以上の接続密度,配線密度は15倍以上,インタコネクトのエネルギー効率は3倍以上と書かれています。結果として,CPU,キャッシュは4GHzクロックで動作し,各種のゲームで平均15%の性能アップとのことです。

  今回の発表はComputexの基調講演で行われたもので,この3D実装のキャッシュを持つRyzenチップの商品化は今年の後半とのことです。


3.NVIDIAのHuang CEOはarmの買収には18カ月必要

  2021年6月2日のFierce Electronics,Computexでのメディアブリーフィングにおいて,NVIDIAのJensen Huang創立者兼CEOがarmの買収に,各国の監督官庁の理解を得るには18カ月くらいはかかると述べたと報じています。Mellanoxの買収の時も18カ月くらいかかった。粘り強く進める必要があるとのことです。

  しかし,armの買収はarmの開発力を増し,市場により広い選択を提供する。また。NVIDIAとarmの開発は。armはGPUを作っておらず重複が無いと述べていました。(もちろんarmはGPU IPも作っています。




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