最近の話題 2021年7月10日

1.Electric Fusion Systemsが中性子を発生しない核融合炉を計画

  2021年7月5日のEE Timesが,Electric Fusion SystemsElectric Fusion Systemsという会社が,ほとんど高エネルギー中性子を発生しない核融合の実験に成功したと発表し,危険な高エネルギー中性子を殆ど発生しない核融合の建造を計画中と報じています。

  この反応はリチウムとプロトンを入力とし,ヘリウムとエネルギーを出力するのだそうです。入力のプロトンは数Mevに加熱され,超臨界の状態にします。そして,100~1000Hzの周期で反応をさせてエネルギーを取り出します。エネルギーはアークの形で取り出され,トランスで電圧を調整して取り出すのだそうです。

  なぜ,そんな方法で核融合ができるのか私には理解できませんが,中性子を発生しない核融合が実現できれば,融合炉の炉壁が放射性を帯びることも無く,e=mc2のエネルギーを取り出せ,理想のエネルギー源で,炭素の排出も無いので,温暖化の加速の食い止められます。

  米国内で運転したとして,発電コストは1KWhで10セントという見込みで,その他の発電と同じくらいのコストです。

  ということで,早く実現して貰いたいものです。


2.IntelのAuroraスパコンは何時になるのか?

  2021年6月29日のNext Platformが,Sapphire Rapids CPUの遅延が発表され,Ponte VecchioGPUもIntelは認めていませんが,遅延の影が濃くなっており,2021年末の納入はできないとみられていると書いています。また,当時,IntelのCEOであったBob Swan氏がSaphire RapidsとPonte Vecchioは2021年の遅い時期から,2022年の早い時期と述べたという話があり,これを信じると,1年遅れと言うことになります。

  ISC 2021ではIntelのDamcloger氏は言わなかったのですが,Xeon and Memory GroupのGMとなったLisa Spelman氏はブログで,遅延について説明しているとのことです。

  Pomte VecchioはAuroraスパコンの計算エンジンで最重要ですが,Intelのビジネス全体からは汎用CPUであるSaphire Rapidsの方が重要と思われます。

  さらに,Sapphire Rapidsは,新アーキテクチャのGolden Coveコアを使い,Advanced Matrix Extensions (AMX)を搭載する予定です。AMXの詳細は発表されていませんが,NVIDIAのTensor coreのようなものと考えられます。もう一つの拡張はData Streaming Acceleratorで,これは全部のSapphire Rapidsには搭載されないかも知れないとのことです。

  いろいろと強力な機能が搭載され,56コアで64GBのHBM2搭載でTDPは400Wというすごい構成もWCCFTECHには報じられており,期待が膨らむところですが,近況を見ると,何時できるのと聞きたくなります。

3.IntelがFoverosテクノロジを使うLakefieldの生産を中止

  2021年7月8日のThe Registerが,IntelがFoverosテクノロジを使うLakefield CPUの生産の中止を発表したと報じています。Foverosはマイクロバンプを付けたチップの表面側同士を合わせて接続する技術で,2枚のチップの間に多数の接続を作れる技術で,2枚のチップの間に高密度の接続が作れる3Dチップ実装技術です。

  Foverosを使うLakefieldは2019年1月から出荷されているのですが,生産中止が発表されました。今年の10月に最終オーダーを受け付け,2022年4月に最終出荷となると発表されました。ただし,Lakefieldのお値段は割高で,Foverosを使うIntel Core i5-L16G7とIntel Core i3-L13G4は,あまり製造量は多くなかったようです。

  そして,代替は10nmプロセスを使うTigerLakeで置き換えるようです。

  しかし,FoverosはIntelの3D実装の中心になる技術で,これに問題が発生したの黄色信号です。

4.産総研のABCIがアップグレードしてABCI2.0に

  2021年7月8日のNext Platformが,アップグレードした産総研のABCI2.0についての記事を載せています。ABCIはXeon Gold CPU 2個に4個のV100 GPUを付けたノードを使うピーク性能が32576.63TFlopsのスパコンですが,ABCI2.0ではXeon SP CPU 2個に8個のA100 GOUを付けたノードを増設しています。そして,R peakを54,340.99TFlopsに引き上げています。

  2020年11月のTop500のランキングでは14位であったのですが,この増強で,2021年6月のランキングでは12位と少しランキングを上げています。

inserted by FC2 system