最近の話題 2021年7月31日

1.Intelが半導体製造のロードマップを発表

  2021年7月27日のEE Timesが,Intelの2025年までの半導体プロセスのロードマップを発表しました。7nmノード,5nmノードという呼び方が実態を表しておらず,IntelはIntel 7,Intel 4,Intel 3,その先はIntel 20A,さらにIntel18Aとなります。Intel 7は2021年のAlder Lakeと2022年のSappire Rapidsga出て,その先はIntel4を使ってMetor LaketoGranite Rapidsという流れになります。

  しかし,これも他社と合意された言い方ではなくIntel独自ですから,分かり易くなったという感じはしません。

  Intel 7は今年中に発表され,2022年に製造開始,Intel 4は2022年の遅い時期に発表され,2023年に製造開始,Intel 3は2023年の遅い時期に発表で2024年に製造開始,Intel 20Aは2024年の早い時期に発表,Intel 18Aは2025年の早い時期に発表というスケジュールになっています。この辺のスケジュールはかなり急いだ感じがありますが,他社の製造を請け負う場合は顧客のスケジュールに影響するので,それなりに確度を高めた見積もりになっているのだと思われます。

  このスケジュールで,Qualcommが20Aを使うということを発表しました。また,AWSがIntelのパッケージングを使う最初の顧客となることが発表されました。

  そして,テクノロジ的にはIntel4からEUVを本格的に使用を始めます。FETはIntel 3までは現在のSuperFinの延長で,20A以降はGate all aroundとトランジスタになります。形はシリコンのチャネルがリボンのようにゲートから突き出るので,IntelはリボンFETと呼んでいます。

  さらにトランジスタの下に電源バスを配置し電源バスが信号配線の邪魔になるのを経r巣とのことです。ただし,電源バスまでの配線は多少長くなり,電源インピーダンスが多少,上がると思いますが,問題にはならないのでしょうか?

  20Aが2024年発表というのは頑張ったスケジュールと思いますが,このスケジュールを本当に実行ができるかどうかが最大の問題です。

2.AMDの第3世代のEPYCは,データセンターではXeon SPに圧勝

  2021年7月29日のNextPlatfformが,AMMDのEPYC 7003とIntelのIce Lakeの性能やTCOを比較した記事を載せています。AMDがスポンサーになっている記事ですが,Tim Morgan氏の書いた記事で,中身はしっかりしています。

  色々な比較が書かれていますが,典型的なものだけを紹介しますので,興味のある方は元の記事を参照ください。まず,SPECrate2017 int baseですが,38コアのXeon Platinum 8368Qは570に対して,第2世代EPYCの7H12は64コアでスコアは717と約26%高性能です。第3世代EPYCの7763は839で,47%高い性能となっています。

  そして,浮動種数点計算性能のSPECrate2017 fp baseは,Xeon 8380が477であるのに対して,7H12は543,7763は651となっています。7H12は13.8%,7763は36.8%性能が高くなっています。

  そして,4年前に入れたXeon E5-2699A v4のサーバの入れ替えを考えているなら,4年前に20台の2Sサーバを設置したのですが,今回は5台のEPYC 7763の2Sサーバを買えば済みます。

  また,3年間のTCOを考えると,Xeon 8380と比べてEPYC 7763を使えば,サーバのコストは34%少なく,設置スペースは半分,電気代は42%少なく,サーバアドミンのコストは33%安く,3年間の総コストは,Xeonでは約66万ドルかかるところがEPYC3では42万ドルとのことです。

3.arm ResearchとPragmatIC社がプラスチック基板のCortex-M0を試作

  2021年7月23日のEE TimesがNature誌に掲載されたプラスチック基板上に製作したCortex-M0ベースのマイクロコントローラについての記事を載せています。

  直径200mmのポリイミドのフィルムを基板として,その上にIGZO TFTや配線を作っています。これはIGZOの液晶パネルと同じで,工業的に確立した量産プロセスです。TFTトランジスタのゲート長は0.8μmで,最小電源電圧は3Vと書かれていますが,このトランジスタで作ったCortex-M0コントローラの動作速度などは記事には書かれていません。

  このCortex-M0はコンセプトの実証用の試作とのことですから,動作速度などは最適化されていないのかも知れません。

  このチップにはNANDゲート18,334個相当のゲートと128BのRAMと456BのROMが集積されており。これまでに作られたもっとも複雑なFlexICであるとのことです。

  プラスチックICは値段が安く,曲げられることから,色々なところに実装できます。このため,色々なセンサーを肌に密着して取り付けて健康状態をモニタすることや,生鮮食品に取り付けるタグに温度管理などのインテリジェンスを持たせることなどが可能になります。それも,コストはLSIレベルではなく,印刷物程度のコストで実現できる可能性が考えられます。



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