最近の話題 2021年9月18日

1.MITと提携のCommonwealth Fusionが高温磁界閉じ込めの実験に成功

  2021年9月14日のEE Timesが,Commonwealth Fusion Systems(CFS)が20Teslaの磁界を作り,高温での磁気閉じ込めの実験に成功したと報じています。これで投入エネルギーを超えるエネルギーを発生させることに道が付いたと述べています。

  Tokamaku型の核融合炉は多数建造されていますが,CFSの炉が新しいのは高温超電導コイルを使い,強力な磁界をコンパクトに実現している点です。CFSは,最近,商業的な使用が可能になった,20°Kで超伝導になるRare Earth Barium Copper Oxideという材料を使っているとのことです。

  2016年に作ったAlcator C-Modという装置ではプラズマの閉じ込めに200MWを必要としたのですが今回のマグネットでは約30Wで閉じ込めができるようになったとのことです。

  MITのSPARCプログラムは投入エネルギーの2倍を超える出力の達成を目指しています。


2.韓国の仁川大学の研究者がDNAロジックで計算するチップを発表

  2021年9月14日のSC Online Newsが,韓国の国立仁川大学の研究者が,DNAを論理素子として使うコンピュートチップを発表したと報じています。現在のところ,この素子はAND,OR,XORなどの簡単な論理演算だけが実行できるとのことです。この素子は外部から信号を与えて論理演算をさせることができるとのことですが,どの程度の速度で演算ができるなどのより詳しい機能,性能は発表されていません。


3.ECMWFがボローニャのデータセンタを開設

  2021年9月14日のHPC Wireが,ECMWFのボローニャデータセンタの開設を報じています。ECMWF(European Centre for Medium-Range Weather Forecasts)はその名のとおりヨーロッパ全体の気象予報センタですが,歴史的に英国のReadingにセンタを置いていました。しかし,2020年の調達でBullSequana HX2000ベースのスパコンに変更することを決めました。そして,ECMWFのコンピュータセンタをボローニャに新設し,ECMWFの本部もドイツのボンに移すことにしました。

  気象予報は2022年5月から新システムに移ることになっていますが多少,遅れているようです。今回の更新で水平解像度は18kmから10kmになり,垂直方向は91分割から137分割に細かくなる予定です。水平解像度は2025年には5kmに細分化される予定です。

 
4.イギリスのパソコン先駆者のSir Clive Sinclair氏が死去

  2021年9月14日のThe Registerが,PCの先駆者の一人であるSir Clive Sinclair卿が81歳で亡くなったと報じています。最近の寿命から言えば,81歳は若い方です。

  Sinclair卿はSinclair Research社を起こし,伝説のZX Spectrumを発売しました。当時のパソコンは殆どがモノクロの時代で,カラーの扱えたZX Spectrumは衝撃を与えました。

  Sinclair社はイギリスの会社で,アメリカと比べて市場が小さかったことも影響して,Appleにはなれませんでしたが,その製品は初期パソコン時代の名器として,オールドファンの記憶の中に残っています。

  Sir Clive Sinclair卿のご冥福をお祈りいたします。


5.先週の訂正

  先週の記事のリンクがループになっており,本来のところにたどり着けない状態になっており,申しわけございません。キーボードで変な文字を入力してしまい,HTMLとしてどういう意味になったのか,削除が出来ず,リンクを付け替えることもできなくなり,不具合を直せませんでした。

  今回は,先週のアーカイブとして収録しておりますので,興味のある方はご覧ください。






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